ファイアー エムブレム 風花雪月 エーデル ガルト。 FE風花雪月キャラ考察―エーデルガルト、皇帝と少女の間で

FE風花雪月キャラ考察―エーデルガルト、皇帝と少女の間で

ファイアー エムブレム 風花雪月 エーデル ガルト

簡易性格解説 エーデルガルトの性格を説明するうえで外せないのは「二面性」だと思います。 (人気投票のコメントで「オンとオフがはっきりしている」とよく言われています。 はっきりしているのは、二面性を持つがゆえと言えます。 ) どんな二面性か、というと 「攻撃的な一面と、穏やかな一面」です。 第一部なら、攻撃的な一面が炎帝で、穏やかな一面が生徒エーデルガルト。 第二部であれば、炎帝が皇帝に変わり穏やかな一面は少女エーデルガルト(年齢的に少女と呼ぶにはややきついが、主題歌のタイトルが「フレスベルグの少女」であるため少女とした)。 普段は主に攻撃的な一面を見せ、穏やかな一面は隠す。 一方で、穏やかな一面は近い人にしか見せない(近い人=味方であるときのベレスなど)。 また、幼少期経験(後述)の影響もあり、人にコントロールされたくないという欲求を持っていたり(というかかなり強かったり)もします。 第二部の場合は、ヒルダのセリフにあらわれている?ものがあって 劣勢であっても、絶対に降参しない。 誰かの傘下には入らない(ベレスが味方になっているときはかなり怪しいが、紅花のベレスはユーリス支援S曰く「女帝の寵愛を受けた臣下」という立ち位置らしい。 やっぱりエーデルガルトが上である)。 コントロールされたくないがゆえに、人を信じることに問題を持ちやすい一面も。 これについてはベレスには初対面で即バレています。 (結果、まず人を評価するようになります。 「この人私のこと裏切らないよね?」と言わんばかりに…。 心の状態が良くないとこの傾向がより強く出るようになります。 幼少期の経験は非常に重要。 性格分析本では「幼少期に慢性的な虐待を受けていたら、より心を閉ざしやすい可能性があります。 幼少期のエーデルガルトは、帝国から逃げたはずだった。 (帝国から逃げてきたときは、アランデル公はタレスではなかったと思われる。 帝国に戻り、実験を受けることとなった(帝国の誰かに力を与えるために)。 闇に蠢く者からすれば、帝国の皇帝となる人に力があれば、それでよかったのでしょう。 それがたまたまエーデルガルトだった。 誰も手を差し伸べてくれなかったから、自分で立ち上がるしかなかった。 (自分が立ち上がれたから、ほかの人もできるはずと信じてる節がある気が。 蒼月の「問答」あたりを見ていると…) 思想を持つきっかけですが、闇に蠢く者による影響が強いと考えています(闇に蠢く者の目的を考慮するのであれば、「エーデルガルトがそういう思想を持つように仕向けた」のほうが正しいかもしれない)。 闇に蠢く者がいなければ、エーデルガルトの身に紋章による悲劇が起きることはなかった。 紋章の犠牲になることも、自分の力で立ち上がることもなかった。 エーデルガルトの前には「成長する道」とストレスを受け「堕落する道」が広がっています。 成長すれば前者の「革命児」に。 堕落すれば後者の「愚帝」に。 その二つの違いは何か?と言われると、「心が解放されているかどうか」。 ベレスが味方にならない場合、「皇帝としての気持ち」と「少女としての気持ち」の二つの方向が一致せず、それがストレスとなります。 そしてそのまま堕落への道を歩んでいくことになります。 堕落の道 「皇帝としての気持ち」と「少女としての気持ち」が一致せず、「皇帝としての気持ち」を優先した例、つまり紅花以外のことです。 要するに、こういうこと(セリフは支援Bのものだが)。 どんどんと心を閉ざしていき、最終的に自分以外は何も信じられなくなります。 エーデルガルトはどうしても過去話と性格の都合で「敵か味方か」を重視しがち。 それゆえに「本当は味方であってほしい人が敵になる」というシチュエーションではストレスを抱えることになります。 銀雪・翠風では重症(イメージとしては、第二部のディミトリと同じくらいの状態)になる前に、ベレスに負けたことで退場します。 さらなる堕落の道 さてそんなわけで銀雪・翠風では退場したエーデルガルトですが、蒼月では退場前にさらなるストレスを受けることとなります。 アランデル公死去により味方集団をさらに失うことになります。 最終的にアランデル公もとい闇に蠢く者と戦うつもりではいる(紅花参照)、でもまだその戦いに挑むときではないから、味方にしておく。 その味方?が残党除いてほぼいなくなった、これから帝国軍一つで戦っていかないといけない。 (全員スカウトしている状態なら、このときエーデルガルトの味方と呼べる人はヒューベルトとMOB兵士くらいしかいないんじゃないかな…。 ) あと個人的に注目してほしいのが、ベレスの呼び方。 たとえ敵対しても、銀雪・翠風では最期まで「師(せんせい)」でした。 この「それぞれの覚悟」以降、エーデルガルトのベレスの呼び方は「先生」になります。 …あと、覇骸に手を出すのもこの章ですね。 自分に味方してくれる存在は減った。 尊敬していた人は、自分の味方をしてくれず敵になり、自分の味方を斬った。 その結果か、「どんな力を使ってでも、自分の身を守りたい」という思いが強くなったのでしょう。 覇骸エーデルガルトは「闇堕ちエーデルガルト」と言っていい存在です。 (ここからベレスの呼び方が変わるのは味方の死亡と無関係ではないと思います。 自分の味方が減ったことによりエーデルガルトはさらにストレスを受けた結果かと。 ) 補足:闇に蠢く者について アランデル公が闇に蠢く者である、というのは紅花のヒューベルトのセリフの通り。 味方ってよりは、クロードのセリフの通り「ただ利用していただけ」。 だが、エーデルガルトの「覇業」のためには必要な力。 なぜなら、闇に蠢く者たちはセイロス教に対して強い復讐心を持っているから。 イメージとしては… 今のところの敵は共通だから、一時休戦して共闘しようぜ!って感じ。 堕落の果てに (蒼月エンディングの話。 ちょっと暗めです。 ) 第二部のディミトリと同じくらいの状態まで堕ちたエーデルガルト。 自分のまわりからどんどん人が消えていく。 人が離れていく。 アランデル公も、ヒューベルトも死んだ。 まわりに味方はもういない。 自分以外は誰も信じられなくなっていく。 でも、自分の身は守りたい。 「自分を傷つけない人間はいない」 幼少期に深い傷を負っているがために、より強く思うように。 かつて尊敬した人や昔親しかった人に対してさえも、反射的に暴力を振るう。 自分の力を維持するために。 最期まで誰かに屈しないために。 成長の道 さてここまで堕落の話ばかり話してきましたが、成長の話もしておきます。 「皇帝としての気持ち」と「少女としての気持ち」が一致した例、つまり紅花のことです。 ベレスが味方となり、やっと人を信じられるようになった。 このことはベレスがもたらした大きな成長だと思います。 (事前情報なんかでも「ベレスを信じていい人だと思ってくれるのだろうか」と書かれていたような。 ) 自分の隣にいてくれる人と解放された自由な心を手に入れ、英雄となる道を歩む。 少し海外ネタもあります。 少し8w9判定の理由でも説明しておきます。 海外では9タイプについて、1w2派が多めなので。 タイプ1とタイプ8は同じ本能センターかつ、ともにリーダー適正がある、と結構迷いやすいタイプだと思います。 似ているタイプの違いは不健全になったときを見てみるとわかりやすいです(これは書籍にも書かれています)。 ここではタイプ1判定かつかなり典型的な不健全落ちをする第二部のディミトリを比較対象とします。 ) タイプ8の場合:力は正義。 どんなものを使っても自分の身を守る。 タイプ1の場合:自分こそが正しい。 絶対的なものに従う。 もしタイプ1であれば、自分の正義的な何かに従っているはず。 (かなりわかりやすいのが蒼月のディミトリで、死者の声に従っている。 ) 蒼月のエーデルガルトは、ディミトリの死者の声のような絶対なものに対して従っている感じがしません。 その代わり?に、禁断の力的なものに手を染めてでも負けたくない、自分の身を守りたい、というイメージが強いです。 (あと、力は正義的な考えもちらほら見受けられる) …というわけで、タイプ8としました。

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エーデルガルト

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力が高い典型的なゴリラタイプの成長。 初期ステでは技が控え目な印象を受けますが、成長率は45%と悪くないため命中については特に問題ないと思いました。 ごくまれに威力上昇&敵の反撃不可。 従来作の太陽的な性能。 疑似的な耐久増加となるので予想以上に受け性能は高いです。 適性技能 得意... 剣、斧、指揮、重装 苦手... 弓術、信仰 才能開花... 理学 弓と回復役はやめときましょうって感じの無難な技能。 何を任せても腐りはしませんが無難に物理アタッカーが良さそうです。 第二部では専用クラスのアーマーロードとカイゼリンを使い、耐久力に磨きをかけます。 専用クラスはキャラクターのイメージにも合うので〇。 基本的には敵の攻撃を程よく受け流しつつ、持ち前のパワーでワンパンを狙う形になります。 ただし、アーマーロードとカイゼリンは速さのステータスが低めなので、追撃を受けてしまい実質的な耐久力はそうでもなかったりします。 ノーマルだと大丈夫だと思いますが、ハードでは... 必須技能は斧のみなので、余裕があれば重装のレベルを上げて重さ-系のスキルを取ると若干攻速が安定します。 ドラゴンマスターは成長率が優秀で、今作は飛行職が優遇されていることもあって非常に使い勝手位が良いです。 速さ成長率と、飛燕の一撃を回収するためにペガサスナイトを経由させていますが、ここは技能経験値の状況に応じてお好みで良いかと思います。

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エーデルガルト

ファイアー エムブレム 風花雪月 エーデル ガルト

おそろいのはなし * 自分の身体が嫌いだ。 つぎはぎだらけで、ぼろぼろで、一言で言うならみすぼらしいに尽きる。 昔はさほど気にしていなかったのだ、どうせ誰に見せるわけでもないと思っていたから。 いつからこんなにあちこちの傷痕を気にするようになってしまったかと言えば、それはもう明確である。 扉の向こう、寝室にいる人のことを考えて、私ははあ、と溜息をつく。 傭兵のあの人に出会った。 教師になった彼にいつの頃からか特別な気持ちを抱いて。 長いこと抱いたまま叶わないと思っていた気持ちをすくい上げたのは、当の彼だった。 想い人だった師が私の伴侶になったのはつい先日のことだ。 嘘みたいな本当の話だけれど、自分の左手の指輪が何よりの証拠である。 夢ではないと正直いまだに信じられない、なんてふわふわとした思いは、急激に現実に引き戻された。 師を初めて自分の寝室に招いた。 自分は身支度を済ませてから行くから、先に入っていて構わないと伝えた。 律儀な師は当然先に待っていることだろう。 早く扉を開けなさい、と頭の中の私が言った。 長袖の羽織の下に薄い寝巻をまとった自分を見下ろす。 たった一枚、扉を隔てた先に師が居るのに。 がっかりした顔の師を想像したら、取っ手にかけた腕に力が入らなかった。 部屋の前で立ち尽くしていると、不意に扉が開き、取っ手を掴んだままだった手と一緒に自分も内側にぐいと引っ張られた。 「わっ」と少し驚いた声。 「なんだ、扉の前にいたんだ」 私を見つけた師は安心したような声でそう言った。 「エルがなかなか来ないから少し心配したよ」 廊下は寒いから中に入ろう、と師に手をひかれ寝室に入る。 私はされるがままに師にベッドの上に座らされた。 ごめんなさい、と呟く。 師は不思議そうに私を見た。 「何のごめんなさい?」 遅くなったことへの謝罪だと言えばいいのに、続く言葉が出てこない。 曖昧な態度の私を、隣に座った師はよしよしと撫でた。 「何か嫌なことがあった?」 優しい師の声にちくりと胸が痛んだ。 ふ、と短く息を止めて吐き出す。 羽織を脱いで腕や胸元の出た寝巻姿の私を、師は見上げていた。 向けられる視線に胸の奥がしんと冷える。 ごめんなさい、こんなみすぼらしい身体で、と話す声が震えた。 「隠すつもりはなかった。 なかった、けど…伴侶の身体がこんなので、その、」 がっかりしたでしょう。 話せてよかった僅かな安心感と、言葉にできない不安と恐怖が頭の中でぐるぐる混じった。 どくどくと暴れる心臓の音がうるさい。 師は一体何と言うのだろうと待っていたら、彼は突然自分の長袖シャツの袖と裾をまくった。 「エル、見て」 師の晒された素肌を見て私は息を飲んだ。 こまごまとついた傷や火傷痕、稲妻のように走る剣で斬られたらしい痕。 師の身体は私に負けないくらい、あちこち傷だらけだった。 「傭兵時代は特に色んな怪我をしたんだ」 そう言って師はにこりと微笑む。 「お互い傷だらけ、一緒だね」 ぽかん、と開いた口がふさがらなかった。 この人は教師をしていた時からそうだ。 いつもいつも、私の想定外のことを突然言い出すのだ。 …なんて皮肉も込めて返したかったのに、言葉は喉で詰まって、う、と嗚咽が零れた。 頬が熱くて、目の奥がつんとする。 私がずっと気にしていたことは師には本当に瑣末なことなのだろう。 そんな彼にとって当たり前の言葉は、行動は、私の傷だらけの胸にすとんと落ちてあたたかく満たしてくれる。 あ、あ、と情けない泣き声が漏れた。 ああどうしよう、師の前だとどうしても涙腺が緩んでしまう。 ぴたりと寄り添った師はしきりに頭や頬を撫でてくれた。 いつからかそんな優しさを貰うことなど、私は諦めてしまっていたのだ。 私が諦めた『それ』を、彼は惜しむことも無く贈ってくれる。 自分の身体が嫌いだった。 つぎはぎでぼろぼろのみすぼらしい身体。 でも、貴方が自分と一緒だと、笑って受け入れてくれるから、少しだけ、ほんの少しだけ。 もしかしたら嫌いじゃなくなるかもしれないと、そんな気がしたの。 [newpage] へんしんするはなし * 目の前にはにこにこと機嫌の良い妻。 彼女の手元には眼鏡と髪留め。 そんな彼女に促されるまま、自分はあっちの服を着たり、こっちの装飾品を付けたり。 例えるならば、そう、着せ替え人形。 「んん、やっぱり眼鏡は外せないかしら」 顎に手を添えた妻は真剣な顔で呟く。 「おしゃれはともかく、邪魔じゃない?大丈夫?」 訊いてくる彼女に大丈夫、と頷くと、なら良かったと笑みを零した。 「普段のべレトさんも素敵だけど、眼鏡をかけた姿もいつもと違う雰囲気でいいのよね…迷ってしまうわ」 「格好良いとか悪いとか以前に、ちゃんと変装できてるかというのが本題では」 さっき試した髪を結うのはいいんじゃないか、と言うと彼女の顔がぱあっと明るくなった。 「私もいいと思っていたの!それじゃあ、二人とも後ろでひとつに結って、お揃いにしましょう?」 結局お忍びの為に変装する、という趣旨からずれているが、かわいい妻がたいへん喜んでいるのでまあいいかと思い直した。 妻、エーデルガルトは皇帝であり、フォドラ中に名前も顔も知れ渡っている人物だ。 そんな彼女の伴侶である自分も、前の戦争や現在フォドラをあちこち駆け回るおかげでそれなりに人々には知られている方だと思う。 そんな彼女と自分が二人、気軽にこっそり、誰にも気を遣われず出掛けたいという話からこの変装会議なるものが始まった。 最初はどうしたら皇帝とその伴侶と気付かれずに歩ける格好になるかと試行錯誤していた妻。 それがいつの間にか伴侶、つまりは自分に様々な格好をさせて楽しむひと時になっていた。 別に、嫌ということはない。 むしろ個人的には好きな時間に分類されるものだった。 彼女が自分の着せ替え人形を楽しんでいるように、自分もきらきらした瞳の妻を心ゆくまで楽しめる時間だからだ。 今彼女は明日着る予定の、飾り気のないワンピースを身につけている。 彼女は何を着ても似合うなぁと考え、これはいわゆる惚気かと思い至る。 どうやら自ら探して買ってきたらしいその服を妻は前から「早くこれを着て貴方と出掛けたい」と言っていた。 互いに忙しくてなかなか予定が合わなかったが、ようやくその言葉が叶うことは自分にとっても嬉しかった。 「よし、こんなところかしら!」 妻がじっとこちらを見て、自信満々に言う。 「着せ替えは終わり?」 「終わり!素敵なべレトさんが出来上がったわ!」 「ふふ、ありがとう」 返すと、妻は照れた様子ではにかんで笑った。 明日は久しぶりの夫婦揃っての丸一日の休日。 かわいらしい自慢の妻を連れて、今度は何処へ行こうか。 [newpage] みまもりたくなるはなし * あとやらなければならないのは、あの部屋の窓拭きに、シーツを取り込んで畳んで、それから…… 考えて、開けられていた窓の外を見やる。 今日もフォドラの空は高く青く、とてもいい天気。 晴れているうちにできることはやらないとね、と思いながら視線を下に向けると、人影が目に入った。 かく言う私も、彼の人のことは先生と呼ばせてもらっている。 先生は言葉数が多いわけではないけれど、誰でも話しやすい雰囲気をまとい、きさくに応じてくれて、あの人当たりの良さは天性のものだと思う。 こんな下っ端のお掃除仕事をしている私にも微笑んで挨拶をしてくれて、それだけでいい人だ、なんて感じてしまうから多分私は単純なのだろう。 先生を上から見ていたら、不意に彼に近づいてくる人影がもうひとつ。 目が覚めるくらい真っ赤な服、頭には厳かな飾りを付けたエーデルガルト様は、言わずとも知れたこの地を治める皇帝陛下だ。 そして、べレト先生の伴侶でもある。 噂では5年ほど前、お二人がまだ先生と生徒という関係だった頃から、陛下は先生を見初めていたらしいけど、真偽は謎である。 どうやらお二人とも、それぞれ仕事の合間の休憩時間みたい。 立場が立場だけにやることが溢れている先生と陛下が同時に休憩中、しかも中庭にいるのは珍しい。 いや、もしかして先生が散歩しているのを見かけて、陛下も降りてきたのだろうか? 陛下に気付いた先生は軽く片手を上げて挨拶しているみたいだった。 そのまま二人で並んで、この間咲いたばかりの花壇の花を見ながら何か話している。 実はそこの花壇、私が手入れしたんですよ。 お二人の話の種になるなんて、なってるのかわかりませんけど、とにかくお二人に見て頂けて光栄です…… 先生が時々中庭のあちこちを指差し何か言うと、陛下は楽しそうに微笑んだ。 普段人前に立つ時は口を引き結んで笑顔なんて見せない陛下の笑顔は、何というかすごく貴重なもので私なんかが見ていいものではない気がして、ほんの少し罪悪感がわいた。 そうして時折顔を見合わせたり首を傾げたりしてお話していたお二人が、急に手を取り踊り始めたのはしばらくしてからのことで。 先生の心地よい低い声が歌い出すと、「その曲、私もすき」と確かに言ったエーデルガルト様の歌声が重なった。 先生の黒い外套とエーデルガルト様の赤い外套がくるくると回り大輪の花のように広がって、とても綺麗。 いつか何処かの夜会ではもっと豪華な衣装を着てお二人は踊ったのかな、と考え、見てみたかったなとちょっぴり思った。 歌がふっと途切れ踊りながら何か言葉を交わしたエーデルガルト様に先生がいつになくいたずらっぽく笑うと、突然先生の動きが大きくなった。 それから、さっきよりも調子の速くなった先生の歌。 手が引っ張られ、きゃ!と声を上げて転びかけたエーデルガルト様の身体を先生が支え、立て直させる。 さっきよりずっと速く、大きな歩幅で踊る二人の外套がますます膨らんで揺れる。 「あはは!こんな速い拍子で踊ったことないわ!」 少女のような笑い声が中庭で響いた。 あの方は本当はあんなふうに笑うんだ。 歌いながら、時に笑い声を響かせながら踊る二人は、先生と皇帝陛下ではなく仲睦まじい恋人同士そのものだった。 二人きりで過ごす時、お二人は今みたいな様子なのかな。 きっとそうだといい、だって二人きりの世界にいる二人は、とても幸せそうだから。 ふと斜め前、同じ階の連絡通路を見たら、私と同じように二人を見ていたらしい人と目が合って気まずくなった。 その人だけじゃない、さっき一緒に掃除していた同僚も、隣の隣の窓を拭くふりをしながらそれとなく見ている。 私がいるより下の階からも覗いている人がちらほら見える。 唐突に始まった二人きりの舞踏会に多くの人が目を留め、でも当の本人たちはそんなこと露知らずに。 ただただ楽しそうなお二人の姿に、はあ、と感嘆の溜め息がこぼれる。 やがて歌が終わり、手を取り合ったお二人がお辞儀をすると、どこからか拍手の音がした。 その音でお二人はようやく皆に見られていたと気付いたらしい。 あ、と一瞬呆気に取られたような表情をした先生は、すぐに眉を下げて笑い傍らの皇帝陛下を見やった。 一方陛下は、着ている服のように見る間に頬を赤くすると、俯いてぱっと駆け出してしまった。 先生が舞踏会の様子を見ていた私たちをぐるりと見てから、陛下の後を追いかけていく。 同僚が近付いてきて、なんかすごいものを見た気分、と言うのに頷き返した。 私はなぜか一人、やけに安心したような気持ちを抱いていた。 いつもは厳しい面持ちの皇帝陛下も、私たちのように当たり前に声を出して笑う方なのだと、知られたからかもしれない。 窓から見ていた人たちがそれぞれの持ち場へ戻っていく。 私も窓拭きをして、シーツを取り込んで畳まなければ。 その後時間があれば、花壇の手入れを少ししようか。 私がしたことで、お二人がさっきみたいに、一時でも心休まる時間を過ごせるのなら…… それはなんて嬉しくて、誇らしいことだろう。 [newpage] 触れられたいはなし * 執務室に居たエーデルガルトは今現在、必死に且つさり気なく俯いて目の前の人物が自分の様子に気付かないようにと祈っていた。 目の前の人物とは彼女の愛する伴侶、べレト師である。 何もやましいことはない、ないのだ。 ただ彼の顔を見ていたら昨夜のことを思い出してしまっただけで。 べレトがいつものように持ってきた書類を置くついでに演習の報告を淡々とするのに耳を傾けようと努める。 しかしそうして彼の顔を見上げると、昨夜に間近で見つめた熱の篭った瞳が脳裏をよぎり、エーデルガルトはまた目を背けた。 ああだめだ……とだんだん自分が情けなくなってくる。 昨夜初めて及んだそれは、今まで色事にほとんど興味のなかったエーデルガルトにはあまりに刺激が強いもので。 頭の処理が追いつかずぐらぐらする思考の中で、頬を赤らめたべレトの余裕の無さそうな表情に、今このひとを独り占めしているんだなぁと考えて胸の奥がきゅっとした。 翌日、つまり今日は通常と変わらない業務で、呆けていてはいけないわと普段通りのエーデルガルトで午後のこの時間まで何とか頑張れたと自負していた。 そこに颯爽と現れてしまったのが件の人で、昨日のことを思い出し普段通りがあっさり崩れてしまったというわけである。 今執務室にはエーデルガルトとべレト二人きり、というのがまだ救いだ。 外野に様子がおかしいなんて言われたらそれこそ逃げ場などない。 「エーデルガルト、顔が赤いけど大丈夫?」 そう、こんなふうにもし訊かれてしまっては…… しまっては……… 「ひっ!」 「ひ?」 気付けば目前にべレトの顔が迫っていて、エーデルガルトは思わず短く悲鳴をあげた。 更に顔に熱が集まるのが自分でもわかってしまう。 「大丈夫?」 「だ、大丈夫よ……」 「そう……」 「……」 「……昨日のこと思い出していた?」 図星。 べレトの洞察力に感服しながらとうとう耐えられずエーデルガルトは両手で自分の顔を隠した。 「私、自分が思っていたよりずっと淫らな人間だったみたい……」 呟き、恥ずかしさに俯くエーデルガルトは机を通り過ぎて更に自分に近付いたべレトに気付かなかった。 不意に陰が落ちてきてふっと上を向いた瞬間、べレトにぱくりと口を口で覆われた。 甘噛みするような口付けとすぐ近くにあるべレトの匂いにエーデルガルトの鼓動が大きく速くなる。 口付けは次第に深くなって、しばらくして離れると二人とも息があがっていた。 息を整えながら「師、あの、貴方も……」とエーデルガルトが控えめに尋ねると、べレトは珍しく困った様子で気まずそうに視線を逸らした。 あ、可愛い。 大人しくなってきたはずのエーデルガルトの心臓がとくりと跳ねる。 時を重ねれば重ねるほど以前と比にならないほど様々な表情を見せるようになってきた伴侶に、エーデルガルトはとても嬉しく思う。 その表情を自分だけが独り占めできることも。 そっとエーデルガルトの手を取ったべレトの顔がまた彼女と口付けそうなくらいに近付く。 「エル、今日も……」 その言葉にエーデルガルトが息を飲んだその時、扉の向こうの廊下から靴の音が響いてきた。 止める間もなく離れた匂いと温もりに、ただの少女に戻ってしまった皇帝陛下は寂しさを覚えた。 まもなく扉が開き、報告書を抱えた兵士と入れ替わりにべレトは外套を揺らして出ていく。 即座に居住まいを正したエーデルガルトは兵士の話に応じながら、私はちゃんと皇帝に戻れているかしら、と少しだけ心配になった。 今日も、と言いかけたべレト師をまた思い出してしまい、耳が熱くなるのを感じながら書類へ視線を落として集中しているふりをした。 早く二人きりになって彼の匂いを、温もりをめいっぱい味わいたい、と。 そう考えているのはお互い様だということをエーデルガルトはまだ知らないのだった。

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