薬屋 の ひとりごと 二 次 小説。 『薬屋のひとりごと』 1つの原作から2つの漫画? 違いは?

双子薬屋の独り言

薬屋 の ひとりごと 二 次 小説

あれ、そろそろ朝のはずなのに寒くない…… 猫猫は半寝の意識でそう思って目を開けた。 腰には何かが巻き付き、動きづらい。 そして、はてと思うのだ。 見覚えのない天井と香の匂いを感じた。 猫猫の鼻は、薬品を嗅ぎなれ、少しでも濃い匂いならば鬱陶しいと感じる。 いい香を使っているんだな。 さすが…… 上品な匂いは、いくら嗅いでも邪魔ではない。 逆に言えば、猫猫にとって香でどんな人物のものかを判断するのは日常であり、無意識のようなものだ。 まして、自分のために焚くことは無い。 そして、段々と覚醒してきた頭は、腰に巻きついた何かを急速に理解する。 「……」 髪は解かれ、身体検査も込で食えないばあやに着せられた衣も身にまとっていない。 上質な……いや、庶民にとって最高級布団から出た肩がそれを証明している。 まだ、寝てるみたいだな。 よく言って小柄、正しくは痩せすぎの猫猫にまとわりついているのはやんごとなき貴人の四肢である。 残念ながら、彼もまた衣をまとっていない。 猫猫よりも大きな体で、温もりを求める子犬のように猫猫を包み込んでいた。 昨晩の、野良犬のような覇気は無いし、まして外行きのキラキラした雰囲気も纏っていない。 ただ、うっすらと隈を浮かべながらも満足気な寝顔をしていた。 まだ、寝かせておこう。 初夜の後となれば、一般的には昨晩の行為を思い出して照れるものだろうか。 色恋を売る場所で生きてきた猫猫には分からない。 ただ、起こしたくはなかった。 この人は働きすぎだ。 最近は元祖癒し系高順の一族の手を借りて机仕事は楽になったはずと、机仕事に向かない馬閃に聞いたことがある。 それでもだ。 まだまだ仕事は山積みなのだろう。 猫猫のことなんか、ほっといてくれればいい。 人より感情の起伏が小さな、女郎の子より、彼の心の隙間をぴったり埋めてくれる麗しき花がこの世にはいるはずなのだから。 猫猫は、一夜を共にした相手の隣で、一通り文句を思い浮かべると、そっと彼の隣を抜け出そうとした。 そして、腰に巻き付くものが締まった。 「どこに行く……」 猫猫の隣から、きっと、耐性の無いものが聞けば、性別の関係なしに甘さで耳が溶け、卒倒するような声が聞こえた。 「おはようございます、壬氏様。 」 猫猫は、別にどこに行くとも決めていない。 しかし、そう言ってしまえばこの手は離れないだろう。 ただ出たいだけ。 それを言わなかっただけ、猫猫は相手を尊重できている。 はずだ。 「壬氏……」 しかし、返ってきた声はなかなかに暗い。 どうしたというのだろう。 猫猫には何が不満なのか分からない。 「壬氏様、どうしました?」 まさか、昨晩の傷がまだ痛むのだろうか。 もしそうならば、諦めてもらうしかない。 あれは、壬氏が自らでつけたもので、猫猫は日頃から持ち歩いている治療セットを取り上げられていた。 火傷した箇所を水で冷やすくらいしか出来なかった。 とはいえ、一度気になるとそちらに気が向いてしまって仕方がない。 何気なく布団をめくろうとした。 その手を止められる。 「お、おい。 お前また話を理解してないだろう。 」 「朝から壬氏様が悩ましげな顔をなさっていたので、火傷が気になるのかと思いまして。 」 何を理解していないなのだろう。 猫猫がさも当然というふうに言い切ると、やんごとなき御方はため息をついた。 首筋にかかるその息さえ甘い。 「そうだよな、お前はそういう奴だ。 」 「はい……?」 何かよくわからないが、諦めてくれたらしい。 ならば、腰にまわした手と、布団を押さえている手を退けて欲しい。 傷の確認をして、そのまま自分はここから出たい。 しかし、壬氏は猫猫を抱きしめ直した。 「火傷はいい。 それより俺は、いつまで壬氏なんだ?」 朝だからこんなに気だるげなのだろうか。 猫猫に縋るような声を出す青年は、子犬のようだ。 「そう言われましても、私は壬氏様の名前を知りませんゆえ。 」 そう言ってしまってから、猫猫は少し後悔する。 しらなければ何事も楽だというのに、嘘をつけない自分は失敗した。 周りからは、「夜の君」とか「月の君」、壬氏本人がいう偽名としては「壬華」というものもある。 しかし、それが本当でないのは知っている。 庶民ないし、高官であってもその尊い本名は口に出来ないのだ。 「なら、教えるからせめて二人きりの時は呼んで欲しい。 」 顔を見なくても分かる。 この人は、喜んでいた。 この人がこう言うならば、これから先出来る限り二人きりになりたくないな。 よし、避けよう。 猫猫が今後のことをちらりと考えている間に、わざとらしく小さな咳をした壬氏は、猫猫に背後からそっと囁いた。 「瑞月……だ。 」 自分で名乗るのはなかなか機会が無いのか、照れたような声色でそう名乗られた。 わざと姓を言わなかったのは、彼の本心からなのかもしれない。 猫猫は名前を知ったことより、瑞月の色香よりもそちらが気になった。 しかし、それについては追求しない。 しない方がいいことだ。 「瑞月様、では寝台から出てもよろしいでしょうか。 」 「もっと恥じらいとかないのか。 」 「ないですね。 」 この男は、猫猫に何を期待しているのだろうか。 一晩で人が変わって猫猫が自分に甘えてくるとでも。 そんなことは無い。 少ししょぼくれながらも、お前らしいと笑う彼を横に、猫猫は布団からはい出る。 まずは服を着よう。 その後確認すればこれ以上面倒事にはならないだろうと考えて。

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双子薬屋の独り言

薬屋 の ひとりごと 二 次 小説

ある日暮れのこと。 湯浴みや夕餉を済ませたうえで、壬氏と猫猫は、壬氏の私室で向かい合って座っていた。 壬氏は水蓮の淹れた茶を飲んで言った。 「なぁ......... 」 「何でしょうか」 「そろそろ了解してはくれまいか」 「何をでしょう」 猫猫はすました顔で言ってのけた。 この娘は分かってるくせにしらばっくれて通すつもりらしい。 壬氏はため息をつきつつ、はっきりと要件を言う。 「俺の妻になってほしい」 「私はただの平民です。 皇弟妃になるなどありえません、許されないことです」 「俺が許すからいいだろう」 「それに、私は家柄もしっかりしておりません」 「羅の家の娘じゃないか」 猫猫は思わず顔をしかめた。 「あのおっさんとは他人ですので」と言ってそっぽを向いた。 「俺のことが嫌いか?」と壬氏は猫猫の顔を覗き込んで言った。 そういう訳ではありません」 「ではなぜ拒む」 そこでぐ、と猫猫は言葉に詰まった。 確かに壬氏のことを嫌いではない。 むしろ、ほかの輩と比べると安心するほうだとも思う程である。 もう一度聞く。 俺のことが嫌いか?」 壬氏に子犬のような目で見られて、思わず猫猫はブンブンといきおいよく頭を振った。 「いえ、私は壬氏さまのことは嫌いではありません。 むしろ...... 」 「むしろ、なんだ?」 言葉を切った猫猫に、壬氏が問う。 猫猫はうつむいたままで小さく息をすった。 「むしろ私は、壬氏さまのことを好いているのかもしれません。 」 そこまで言い切って壬氏の目に視線を戻す。 唇にすこしだけ微笑を乗せた。 壬氏は猫猫を見て慌てたように俯いた。 少し耳が赤く見えるのは気のせいだろうか。 「猫猫」 「何でしょうか」 「やっぱりそろそろ、俺の妻になってはくれないか」 「皇族に嫁ぐと色々と面倒事が生じますゆえ、お断りします」 「俺のことは好きなんだろ」 「かもしれません、と言っただけです」 壬氏は素直じゃない猫猫の態度に少しだけしょんぼりする。 でもその後すぐに口の端を吊り上げた。 猫猫としては嫌な予感しかしない。 「俺はおまえの気持ちを大事にしようと心がけていたが、気持ちがすこしでもあるのなら、気にする必要はないかもしれないな... 」 壬氏が猫猫に迫ってくる。 猫猫はぞわりとした何かを感じて後ずさりした。 まずいかも 壁際に猫猫が追いやられ、壬氏が手を伸ばした。 猫猫がまるで汚物を見るかのような目で壬氏を眺めたが、壬氏は慣れてしまってひるんだりしない。 むしろ少し頬を紅潮させているようにも見えなくないのである。 「じ、壬氏さま.... 離してください」 吐息すらかかる程の距離で、猫猫は抜け出そうにも抜け出せない。 壬氏は猫猫の細い手首を掴んで離してくれない。 「なぁ、猫猫」 「......... 何でしょうか」 「俺を、選んではくれないのか?」 幼子が甘えたような声でそう言われて、つい猫猫はそっと壬氏の背中に手を添えた。 でもそれを肯定とはとらせない。 「壬氏さま..... 、私に、皇弟妃は似合いません、なれるものではありませんし、なりたくもありません」 壬氏のことを嫌いだとは言っていない。 でも皇弟妃になりたくない、とはっきり言ったいう意味としては結婚を拒否されたということになる。 壬氏はがっくりとうなだれて、でも「妃にならなければいいのだろう?」とにんまりと笑みを浮かべた。 壬氏が猫猫の唇に口づけを落とした。 じ、壬氏さま」 「なんだ?」 「あ、あついです」 猫猫には暑いのか熱いのか、その違いは分からなかった。 ただ、なんとなく体に暖かいものが流れ込んで、その身が満たされているという感覚があった。 実際には触れ合っただけであって、唾液すら飲み込んでいないというのに。 我慢してくれ」 壬氏が猫猫の肩や首に強く吸い付いて、痕をつけていく。 猫猫は微量の痛みを感じながらもやはり、身体が満たされていくような感覚を覚えた。 猫猫はむずむずとするその感覚たまらなくなって、もういっそ清々しくなってしまいたいと思い、壬氏の顔を両手で挟むと、壬氏の唇に己の唇を重ねた。 花街で小姐たちに教わった技術で、壬氏の口内を舌でいじった。 壬氏の舌先を絡め取ると、これ以上やると自分でも歯止めが効かなくなると察し、壬氏の顔に添えていた手を離した。 壬氏は頬を紅潮させ、猫猫を強く抱きしめた。 「猫猫。 今夜は離せないかもしれん」 壬氏は猫猫に先にことわっておいた。 猫猫は瞳を僅かに潤ませながらこくんと頷いた。 それを見て、もう一度深い口づけをして、2人は微笑みあった。 まだまだ、夜は終わらない。 むしろまだ、始まったばかりである。

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薬屋 の ひとりごと 二 次 小説

何か違和感がある… 猫猫は宮廷の傍にある離宮の一室にいる。 壬氏が西方の特使との取引をする為、猫猫も侍女として同行したのだ。 今しがた女官が運んできた茶を毒味し、壬氏に手渡した。 猫猫は壬氏の席の斜め後に戻り、それとなく辺りを観察する。 近頃壬氏の周辺では不可解な事件がいくつか起きている。 これらの事件はどこかで繋がっているというのが猫猫の推察であるが、未だこれといった証拠が見つかっていなかった。 先程感じた違和感は何だったのか…。 猫猫がふと視線をずらすと扉の横に背の低い男が立っていた。 あれ、さっきあんな男居たかな?どこかで見たような…。 猫猫が思い出そうとしていると、ちょうど取引が終わり、特使と握手を交わすため壬氏が席を立った。 その時猫猫の視界の隅に動く物があった。 咄嗟に飛び出した猫猫は後から壬氏を突き飛ばした。 一瞬小男が刃物を振り下ろすのが見える。 勢い余って猫猫も壬氏の倒れている傍に転がりこんだ。 左腕に鈍い熱を感じる。 小男はすぐさま取り押さえられた。 「おい、大丈夫か!」 壬氏が傍らに倒れていた猫猫を抱き起こす。 猫猫の左上腕は着物が裂け、血に染まっていた。 「…っ!猫猫!!」 壬氏が青ざめた顔で覗き込む。 「あ、切れてますね。 幸い左なので縫いやすい…」 猫猫は悠長に懐に手を突っ込んで何かを探している。 「何してるんだ!すぐに治療せねば!」 そう言うや否や、壬氏は猫猫を抱き上げて医局へと走った。 [newpage] 猫猫の傷は幸い表面が切れただけで、羅門によって美しく縫い合わされた。 今は大事をとって壬氏の宮にある自室にて休んでいる。 さっきの小男は以前見かけたことがあった。 持っていた刃物は都では殆ど見かけない形をしていた。 繋がっているな…と考えていると、壬氏が訪ねてきた。 「具合はどうだ?」 貴人どのは入口の扉に身を預けている。 「かすり傷です。 美しく縫い合わせてあるので3日もすれば仕事に戻れます。 」 猫猫が椅子でも勧めた方が良いだろうかと考えていると、壬氏が抑揚のない声で言った。 「そうか。 では治癒したら医局に戻れ。 もう私の宮には通わなくて良い。 」 猫猫がポカンとしていると、貴人は麗しの宦官の微笑みを浮かべる。 「妻にすると言ったが、あれは忘れてくれ。 」 それだけ言うと引き止める間もなく、背を向けて出て行ってしまった。 何考えてるんだよ、あいつ。 猫猫は顔をしかめながら医局で乾いた包帯を丸めていた。 まさか急にクビだとは。 しかし、猫猫とて馬鹿ではない。 理由くらい見当がつく。 近頃の不可解な事件は壬氏を狙ったものだろう。 その最中、猫猫が壬氏を庇って怪我をした。 未だに主犯は捕まっていない。 これからも危険な事は起こるだろう。 その上、結婚などという話が出れば、壬氏の弱みとして猫猫自身が狙われるかもしれない。 これ以上自分のせいで猫猫を危険に曝したくない。 あの貴人殿はそういう御人なのである。 今更じゃないか…。 ため息をついていると、医局の扉が勢いよく開かれた。 息をきらせた馬閃が医局に入ってくると、猫猫の手首をんだ。 「一緒に来てくれて。 詳細は移動しながら話す。 」 [newpage] 壬氏の宮に向かいながら馬閃から説明を受ける。 高官との会食中、壬氏に毒が盛られた。 毒味の下女は敵の手の者だった様で、血を吐いて絶命するまで不調を隠していた。 壬氏は食が進まず、ほとんど手を付けていなかった事と、すぐに食べた物を吐かせた為に一命を取りとめた。 しかし、意識は混濁し、早く治療しないと危険な状態だという。 嫌な汗が背中に滲む。 猫猫は足を早めた。 閨の上に壬氏が力なく横たわっていた。 その顔は青白く、唇は紫色で、天女の顔は鳴りを潜めている。 背筋に寒気が走り、焦点が上手く合わない。 手が震える。 拳を握りしめて深く息を吸うと、猫猫はすぐに治療に取り掛かった。 容態を確認すると毒の種類はすぐに判明した。 猫猫が毒味していれば、味や香りですぐに分かっただろう。 胃洗浄をし、調合した薬を飲ませた。 難しい毒だ。 後は、梨花妃の時の様に少しずつ排出させるしかない。 壬氏の意識は朦朧としており、水を飲ませることができないため、水を含ませた綿を唇に当てて補給させる。 この毒の排出には水分を摂らせることが重要で、水を飲めるところまで回復させるのが肝である。 しばらくは集中的な管理が必要だ。 [newpage] 猫猫は3日間休まずに看病をしていた。 途中、水蓮と羅門が交代しようと申し出てくれたが、眠れそうにもないので断っていた。 壬氏の顔色は随分良くなったように見える。 猫猫は天女の顔にかかった髪を避け、額の汗を拭いてやった。 壬氏は薄く目を開いた。 見慣れた天井が見える。 ほんのりと薬草の匂いが漂っていた。 どれくらい時間が経っただろう、ぼんやりとした頭で考えていると、愛しい女の顔が覗き込んだ。 「目覚められましたか。 」 いつもの淡々とした口調だ。 「ああ…。 お前なんでここにいる。 」 壬氏の話を無視し、猫猫は問診を始める。 「指は動かせますか。 手に痺れはありますか。 頭に痛みはありますか。 足は…」 問診が終わり、猫猫が筆記具で記録をしていると、壬氏が話しかけてきた。 「お前、何日寝てないんだ。 」 猫猫の目は充血し、目の下には深い隈が刻まれていた。 いつもの雀斑は殆んど取れてしまっている。 「後は水蓮にでも任せて、お前は宿舎に帰れ。 明日から別の者に来てもらおう。 お前はもう通わなくていい。 手間をかけて、すまなかったな。 」 少しの沈黙の後、猫猫が口を開いた。 「宿舎には帰りません。 こちらにいます。 明日からも、私が診ます。 私は、大丈夫なので。 」 「いや…俺は、お前を危険に巻き込みたくないんだ。 分かってくれないか。 」 壬氏の声は弱々しく掠れている。 猫猫は眉間に深い皺を刻み、目を伏せる。 再び壬氏に視線を戻し、小さく息を吸うと、まくし立てるように話し始めた。 「何カッコつけてるんですか。 そもそも今までだって散々面倒事に巻き込んできたじゃないですか。 ご自分の腹まで焼いて、私を妻にすると言っておいて、今更忘れろなんて無茶苦茶です。 その結果このザマじゃないですか。 散々心配させておいて、目が覚めたから帰れだなんて、勝手すぎます。 私にだって覚悟くらいあります。 これからも、面倒事に巻き込んでもらって結構です。 今までみたいに、全部、解決してやります。 だから…。 」 言葉が見つからなくて、猫猫が黙っていると、壬氏が口を開いた。 「本当にいいのか。 これからもっと危険な目に遭うかもしれないぞ。 」 「分かってます。 」 「嫉妬や権力、面倒事だって数え切れない程あるぞ。 」 「気にならないので。 」 「それでも、傍にいてくれるのか。 …俺の妻に、なってくれるのか。 」 「…はい。 」猫猫はかすれた声で答えた。 [newpage] エピローグ 「猫猫、水が飲みたいんだが。 」 壬氏は腕に痺れが残っている為、介助して飲ませる必要があった。 「はい、用意しますね。 」 猫猫は水を湯呑に注ぎ、口を拭く布などを準備する。 壬氏の頭を枕で少し高くし、湯呑を口に持っていこうとすると、 「口移しで飲ませてくれないか。 」 貴人はそう宣って、キラキラしい天女の微笑みを浮かべた。 猫猫は蛞蝓を見るような目で壬氏を見据える。 「では、水蓮様にそのようにお伝えしておきますね。 私は眠いので、自室に帰らせていただきます。 」 「待て!なぜそうなる!お前さっき帰らんと言ったではないか!」 「宿舎には帰らない、明日も診ますと言いました。 この宮にはいますよ。 それに壬氏様が水蓮様に任せろとおっしゃったんですよ。 」 子どもっぽく唇を突き出し、ふてくされる貴人をからかいながら、夜は更けていった。

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