グランド ブダペスト ホテル。 10 Best Luxury Hotels in Budapest for 2020

宇多丸が映画「グランド・ブダペスト・ホテル」を激賞

グランド ブダペスト ホテル

さて、今回取り上げます『グランド・ブダペスト・ホテル』は、2014年に公開された、ウェス・アンダーソン監督・脚本によるミステリーコメディです。 現在、最新作『犬ヶ島』が全国公開している同監督の作品は、俳優や同業の人々からも支援されるその独特の世界観で、世界中に多くのコアファンを持っています。 インテリアのスタイリングは、主人公の状況やキャラクター、時代背景などを表現するのに重要な要素ですが、この映画はフィクションの世界にリアリティを演出するためというより、監督が創造するイメージを具現化するために、スタッフが 1枚 1枚の絵コンテから、ミニチュアの模型を作り、ロケ地を選定し、セットが製作されているようです。 ということで、本作はインテリアから意味を見出そうとする従来の観方ではなく、それぞれのシーンを映像美として楽しむというのが、正解なのではないでしょうか。 ホテルオーナー ゼロ・ムスタファ(左)と、語り手となる作家 物語は、1985年の語り手である作家(トム・ウィルキンソン)によるイントロダクション、1968年の語り手の作家(ジュード・ロウ)と難民のベルボーイから成り上がったホテルオーナー ゼロ・ムスタファ(F・マーリー・エイブラハム)との食事と回想シーン、そして1932年の映画本編と、3部構成になっています。 時代を分かりやすくするために、画面のアスペクト比を3つに分けていますが、これは1932年の本編映像を正方形に近い比率に導くための順番です。 では何故、正方形に近いアスペクト比にしたのでしょうか? それは、シンメトリー(左右対称)に拘った映像になっていますので、それをより強調するための手法かと思います。 それでは、今回のインテリア・スタイリングは、そのシンメトリーをテーマにして観ていくことにしましょう。 この真っ赤なエレベーターにも秘められた暗示が…。 ホテルコンシェルジェのグスタヴ・H(レイフ・ファインズ)と、ベルボーイになったばかりのゼロ・ムスタファ(トニー・レヴォロリ)との出会い。 ヨーロッパのズブロフカ共和国にあるグランド・ブダペスト・ホテルのサインや置き照明の意匠は、アールヌーボー様式で19世紀初頭の雰囲気が出ています。 ドイツのドレスデンの旧百貨店をロケ利用したホテルは、シンメトリー構造の階段を持ち、長い廊下の赤い絨毯模様とそれに合った天井の額縁模様(ヨーロッパの建築様式では、床・天井のデザインが上下対称となっています)。 赤くした狭い四角の空間のエレベーターボックスに、紫の制服を着た従業員の並び配置。 ビビットな色で画面を構成しコントロールしていることで、これは架空な世界のおとぎ話に近いことを暗示しています。 マダムDの長男ドミトリー(左から2人目)の陰謀で逮捕される事になるグスタヴ・H(右) 殺人容疑で捕まってしまったコンシェルジェのグスタヴ・Hは、第19犯罪者拘留所に入れられてしまいます。 つまり刑務所ですが、四角い画面にシンメトリーを強調するためには、もっとも適した場所です。 縦横が均一な鉄格子、四角い窓、見通しの良い長い廊下、全員ボーダー柄の囚人服、左右対称の三段ベッド、警官対囚人と。 ストーリーとは別に、この映画の画面構図の印象付けという点では、ハイライトのパートです。 物語の展開でも、ベルボーイ(後のホテルオーナー)ゼロ・ムスタファが、グスタヴ・Hから「お前は、何故故郷を出てきたと?」非難めいた質問をされて、故郷のアク・サリ・アル・ジャパットの村々は焼かれ、親、家族は皆射殺されて難民になったことを告白します。 そして、二人は兄弟の誓いと契約をします。 これは、今日のヨーロッパの難民問題を想起させます。 富裕層が集い、誰もが憧れる華やかなホテルだった、かつてのグランド・ブダペスト・ホテル 『グランド・ブダペスト・ホテル』は、1900年代前半のナチスドイツ、旧東ヨーロッパ、オーストリア帝国などを連想させますが、難民問題を抱える現在のヨーロッパとも重なります。 トランプ大統領登場以前に、メキシコ国型の痣を持つヒロインがいることに、今のアメリカに重なる物語にも読み取れてしまうところにも、この作品の深さと予言性を感じます。 その意味では、シンメトリーに徹底的に拘ったコメディタッチのミステリーにしなくては、メッセージ性が強すぎる重たい内容になってしまったのかもしれませんね。 これはインテリア・スタイリングよりも、構図とイメージが優先された特別な作品だと思いますので、是非、あなたもウェス・ワールドを訪れてみてください。

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映画『グランド・ブダペスト・ホテル』ネタバレあらすじ結末|映画ウォッチ

グランド ブダペスト ホテル

1969年テキサス州ヒューストン生まれ。 大学で俳優のオーウェン・ウィルソンと出会い、映画の共同制作を始める。 96年『アンソニーのハッピー・モーテル』で長編監督デビュー。 98年『天才マックスの世界』で批評家の支持を得、01年の『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』は全世界で大ヒットを記録、一躍その名を知らしめた。 その後も発表する作品毎にファンを増やし、最新作の『グランド・ブタペスト・ホテル』は見事ベルリン国際映画祭銀熊賞に輝いた。 これまでに3度のアカデミー賞ノミネートを誇り、全世界で最もユニークで、最も人気を博しているフィルムメイカーの1人である。 FOX '09 ・ '12 ・グランド・ブダペスト・ホテル '13 ウェス・アンダーソン監督の映画は、どのシーンを切り取っても情報量でいっぱいで、驚くほど隅々まで作りこまれている。 それでも不思議なことに、彼の作品の世界観はすんなりと受け入れてしまえる。 キャラクターたちの独特なしぐさや絶妙なニュアンスをもつセリフがしっくりくるのは、決して持ち前のおしゃれさやテンポの良さだけではない。 彼の作り出したキャラクターたちは、まるで私たちの知らないどこかで本当に暮らしているようなイメージを浮かばせる。 偶然性を極力排したように見えるウェス・アンダーソン監督の映画は、全くの作り物であるにもかかわらず、私たちのいる現実よりも、なんて瑞々しいのだろうか。 全編人形を使ったストップモーション・アニメでは、その魅力を存分に堪能することができる。 妻の妊娠をきっかけに盗みをやめ、つつましく生活することを決めたMr. すぐさま行動に移すMr. FOXと巻き込まれていく動物達、そして盗みを許さない人間たちが織り成す物語の速度と爽快感は、ウェス・アンダーソン監督作の中でも随一だ。 生き生きと画面を動き回るキャラクターたちを観ていると、私たちも同じようなエネルギーに満ちてくるだろう。 そして新作では、それをさらに突き詰めている。 ストップモーション・アニメあり、CGありという、今まで培ってきた技術をふんだんにちりばめた今作は、ウェス・アンダーソン監督の集大成といえる作品だ。 かつてのヨーロッパの、架空の国の架空のホテルを舞台に、キャラクターたちのユーモアは切れ味を増す。 けれど、問題を抱えたキャラクターたちがそれでもなんとなく和解しながら幕が下りる今までの作品とは、どこかが違う。 遠い昔、遠い国の輝かしい日々を現在から眺めているような侘しさが、物語の最後に残るのだ。 『グランド・ブダペスト・ホテル』にこれまでにはないスケールの大きさを感じるのは、現代に生きる少女から始まり、彼女が読んでいる小説の作者が、実際に聞いた話の時代にさらにさかのぼるという入り組んだ設定に加えて、今はもう存在しない世界への愛着と、それに対するある種の諦観が描かれているからだと思う。 今回上映する『ファンタスティック Mr. FOX』と『グランド・ブダペスト・ホテル』は監督従来のチャームポイントと新たな決意を確認できる二本立てだ。 独自の路線を突き進む彼の作品から目を離すことができない。 (ジャック) ファンタスティック Mr. FOX FANTASTIC MR. FOXは盗みをしながら暮らしていたが、妻のMrs. FOXとちょっと変わり者の息子アッシュのために、盗みから足を洗い、今は穴暮らしをしながら新聞記者として働く日々。 だが、「もっといい暮らしをしたい!」そんな欲求にかられた彼は、丘の家を購入することに。 しかし丘の向こうには意地の悪い3人の人間の農場主(ビーン、ボギス、バンス)が住んでいた。 それでも憧れの家に引っ越し、人間に近づいたMr. FOXは、野生の本能が目覚めてしまい、人間たちの飼育場から昔のように獲物を盗むことに熱をあげていく。 FOXと土の中で生活する彼らの仲間たちは、野生の本能と誇りをかけ、人間たちと戦い始める! 「チョコレート工場の秘密」で知られるロアルド・ダールが1970年に発表した「すばらしき父さん狐」。 子供の頃に原作を呼んだウェス・アンダーソン監督は、いつかは映画化したいと願い続け、遂に現実となった。 しかも、CGや3Dが主流の今あえてストップモーション・アニメにこだわり、1秒に24コマ撮り(本編87分!)という、時間と手間と愛情をかけて作品を完成させた。 主人公Mr. FOXの声は『オーシャンズ』シリーズから社会派作品まで幅広い演技力でハリウッドのトップにたつジョージ・クルーニーが務めた。 Mrs. FOXには2度のアカデミー賞主演女優賞受賞を誇る、名女優メリル・ストリープ。 さらにはアンダーソン作品常連のジェイソン・シュワルツマン、ビル・マーレイ、オーウェン・ウィルソンなど、素晴らしい個性派豪華キャストが人形たちにリアルな息吹を与えている。 彼の究極のおもてなしの秘密は、マダムたちの夜のお相手も辞さない徹底したプロ意識にあった。 ところが、グスタヴの長年のお得意様である伯爵夫人が殺され、遺言で貴重な絵画を贈られたグスタヴが容疑者に! ヨーロッパ大陸を逃避行しながら、愛弟子のベルボーイのゼロと、肉親よりも固い絆を結ぶコンシェルジュの秘密結社の力を借りて、謎に挑むグスタヴ。 今世界中で最も人気のある監督の一人であるウェス・アンダーソンの最新作が完成した。 次々に事件が起こるスリリングな展開なのに、独特なユーモアで至福感に包まれる、アンダーソン監督にしか生み出せない世界観。 公開されるや世界各国で次々と記録を塗り替えるヒットとなり、最高傑作との呼び声も高い。 そんな彼の新作に集まったのは超豪華&個性派スターの面々。 主役のレイフ・ファインズをはじめ、エイドリアン・ブロディ、ウィレム・デフォー、ジェフ・ゴールドブラム、ハーヴェイ・カイテル、ジュード・ロウ、ビル・マーレイ、ティルダ・スウィントン、シアーシャ・ローナン、マチュー・アマルリック、レア・セドゥ等々、国際色豊かなキャストが濃密なキャラクターを演じている。 さらに、そこかしこに仕込まれた映画史へのオマージュ、こだわり抜いた美術や衣装、ドイツ・ドレスデンで撮影された風光明媚な街並みなど、まさにどこから見ても楽しめる、極上のミステリー・エンタテインメントがついに幕を開ける!.

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セットデザインからひもとく映画『グランド・ブダペスト・ホテル』。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

グランド ブダペスト ホテル

『グランド・ブダペスト・ホテル』の概要 『グランド・ブダペスト・ホテル』とは、ドイツ・イギリス合作の映画で、ジャンルはコメディドラマとなっている。 高級ホテルの伝説的コンシェルジュであるグスタヴとベルボーイのムスタファが主人公の物語で、二人の交友を描いた作品である。 監督・脚本はウェス・アンダーソン、主演はレイフ・ファインズが務めている。 ヨーロッパの東の端にある架空の国ズブロフカ共和国が物語りの舞台である。 1930年代、1960年代、1985年、現在と4つの時間軸で展開されていく。 本作品は、アンダーソン監督が脚本を書くに当たって影響を受けた「シュテファン・ツヴァイクの著作」に献辞が捧げられている。 第64回ベルリン国際映画祭審査員グランプリや、第87回アカデミー賞の4部門などを受賞し、ゴールデングローブ賞の映画部門作品賞も受賞した。 今作の主要撮影はベルリン、ドイツ・チェコ・ポーランド国境沿いのゲルリッツで2013年1月に開始され、同年3月に終了した。 2014年3月7日に北米市場で公開され、第64回ベルリン国際映画祭のオープニング作品として上映された。 2014年2月28日にフランスで公開された。 日本では2014年6月6日に全国100スクリーンで公開が開始されている。 『グランド・ブダペスト・ホテル』のあらすじ・ストーリー 物語の始まり マダム・Dに最期の挨拶をするグスタヴを見守るムスタファ ルッツ城に到着したグスタヴは、マダム・Dの棺の前で彼女の死を悲しんだ。 マダム・Dへの挨拶を済ませると別室へ通された。 そこには叔父や甥っ子、ほとんど付き合いもないような姻族達がマダム・Dの遺産を目当てに集まっていた。 遺言執行人の弁護士コヴァックスは、「基本的な遺言に加え、追加や補足が600通以上に及ぶ。 基本的に長男ドミトリーや、姉妹が相続することになるが、その他の形見分けなどもあり、遺言の執行には時間がかかる。 」と説明した。 最新の遺言はマダム・Dの死の間際に書かれており、「ホイトル作の名画『少年と林檎』をグスタヴに遺贈する」とあった。 血の繋がりのないグスタヴに唯一の個人蔵のホイトルの絵を譲渡する事にマダム・Dの一族は納得せず、ドミトリーはグスタヴが母と肉体関係があったことを罵倒して殴った。 その様子を見ていたムスタファはドミトリーを殴り反撃するが、ムスタファもドミトリーの傍らにいた私立探偵を名乗る男ジョプリングに殴り倒された。 ドミトリーと遺産を巡って対峙するグスタヴ グスタヴは「この絵はマダムの所有する美術品の中で唯一価値があるもの」と言い、少年と林檎の絵画をエゴン・シーレ風の絵画とすり替え、持ち帰ることを決意する。 そこでマダム・Dの執事セルジュに絵を梱包してもらい、絵と共に無事ルッツ城を出発した。 セルジュは絵を梱包する際、絵の裏に極秘と書かれた封筒を忍ばせた。 グスタヴとムスタファは夜行列車でホテルへと向かっていた。 就寝しようとしていた二人だったが、グスタヴが「遺族らが乗り込んできて奪い返される前に、絵は売ろう」と言い出した。 また「戦争が始まればホテルは兵舎にされ、働くことができなくなる。 絵を売った金で国外へ行き、働けるようになったら戻ろう」と言い、ムスタファに協力の見返りとして、わずかな手数料と自分の死後、財産の全てを遺贈するという契約書を作成した。

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