グリコ 森永 事件 小説。 【感想】『罪の声』/塩田武士:グリコ・森永事件を小説化!

グリコ・森永事件を書いた理由──リアリズムで圧倒する報道小説の傑作|今日のおすすめ|講談社BOOK倶楽部

グリコ 森永 事件 小説

手元に並ぶ資料はいったい…… こんにちは。 関西ローカル番組を手がける放送作家の吉村智樹です。 こちらでは毎週、僕が住む京都から耳寄りな情報をお伝えしております。 いま、京都在住のある小説家が上梓した新刊が、注目を集めています。 それが 塩田武士さんがお書きになった 『罪の声』。 塩田武士さん著 『罪の声』は、第七回「山田風太郎賞」受賞、「週刊文春」ミステリーベス10 2016年度国内部門第1位、さらに第14回「本屋大賞」候補、第38回吉川英治文学新人賞候補にも選ばれ、講談社の漫画雑誌『イブニング』で漫画化も決定した目下 ベストセラー驀進中の超話題作です。 では話題作 『罪の声』とは、いったい、どんな小説なのか? 『罪の声』 塩田武士 著 講談社 逃げ続けることが、人生だった。 家族に時効はない。 今を生きる「子供たち」に昭和最大の未解決事件「グリ森」は影を落とす。 「これは、自分の声だ」 京都でテーラーを営む曽根俊也は、ある日父の遺品の中からカセットテープと黒革のノートを見つける。 ノートには英文に混じって製菓メーカーの「ギンガ」と「萬堂」の文字。 テープを再生すると、自分の幼いころの声が聞こえてくる。 未解決事件の闇には、犯人も、その家族も存在する。 圧倒的な取材と着想で描かれた全世代必読! 気鋭作家が挑んだ渾身の長編小説。 上記の紹介にある「ギンガ・萬堂事件」。 大企業の社長を誘拐して監禁、青酸ソーダ入りの菓子で無差別殺人をはかり(殺人未遂罪)、企業脅迫、アベック襲撃、車両強盗など卑劣な凶悪犯罪を繰り返しながらも、 「けいさつの あほども え」などユーモラスな挑戦状の数々で国民の心情を掌握して味方に引き込み、犯人はまるで義賊のようにすら思われていました。 そして犯人と思わしき 「キツネ目の男」をはじめ10人前後いたことは間違いないとされる犯罪チーム 「かい人21面相」の誰ひとりとして逮捕できず、 すべての犯罪が時効となってしまったのです。 これまでグリコ・森永事件をモチーフとした数々の書籍や漫画が生まれましたが、この『罪の声』は 視点が違います。 ページを開けば、塩田さんが足で稼いだ取材のたまもので場景が映像となってありありと頭に浮かびます。 どのページ、どのシーンもリアリティに富んでおり、ぐんぐん引き込まれるのです。 読んでいるうちに 「これ、どこまで本当で、どこまでがフィクション?」とわからなくなるほど虚実が交錯する不思議な魅力に満ちたこの小説は、いったいどのように書かれたのか? 作者の塩田武士さんにお会いし、その裏側をうかがってきました。 何度も涙し、何度も笑い、何度も手に汗握り、何度も考えさせられ、感情が激しく揺さぶられ続けました。 400頁を超える分量にはじめはひるみましたが、没頭してあっという間に読み終えました。 塩田 「手に取ってくださる方が多く、ほっとしています。 この作品は、第二のデビューのつもりで、魂を込めて書きました。 僕は『不毛地帯』や『沈まぬ太陽』をお書きになった山崎豊子さんに憧れていて、山崎さんのような社会派の小説を、いつか極めたいと思っていたんです。 母親から『このお菓子、食べたらあかんで』と注意され、 キツネ目の男のせいで、自分が好きなお菓子が食べられないんだと悲しく思ったのが最初の記憶です。 塩田 「僕は兵庫県の尼崎で生まれ、事件はお隣の西宮で発生しています。 ほぼ地元の出来事だったので、よりいっそうリアルに感じていました。 たとえば甲子園へ野球を観に行くと、おじさんたちが巨人軍を揶揄するヤジを飛ばすとき『グリコの犯人、エ・ガ・ワ!』とか叫んでいたり。 日常のなかに事件が溶け込んでいましたね。 なんせ「未解決」ですものね。 塩田 「これほど大規模な未解決事件は初めてでした。 捜査対象者はおよそ12万5千人にまでのぼると言われています。 これだけ大掛かりなことをやり、大量の証拠品を残し、それで逃げられただなんて、いまの時代だったら考えられない。 まず現代は監視カメラがあちこちにあるし、反対に事件の以前なら隣近所のつきあいがあってつながりが強かったのでローラー作戦が効いていた。 改めてすごい事件です。 もしや」と目された方々の調書をもとにした資料を入手している。 その本に 『子供の声を録音したテープを指示書代わりにしている』というくだりがあった。 それを読んだ瞬間、ぞわーっと鳥肌が立ったんです。 この事件には 3人の子供の声がゆすりに使われたのですが、声紋からの判断では、一番下の子供は、おそらく僕と同世代なんですよ。 『同じ関西で生まれ育ったのならば、どこかで僕とすれ違っていたかもしれないし、友達のひとりだったかも』と。 構想から作品の完成までに、ずいぶん時間がかかったのですね。 塩田 「本当はデビューしてすぐに書きたかったんです。 小説現代長編新人賞をとったとき、すでに講談社の初代担当者にはプロローグのアイデアを話していました。 すると『それは面白い!』と、いい反応をもらえたんです。 ただ……『正直に言ってその話は、 いまの塩田さんの筆力では書けない』ともズバリ言われ、いい時機が訪れるまで、待つしかなかった。 無茶な囲い込みですね。 塩田 「なので いつか誰かが同じテーマ、同じアイデアで書くんじゃないかと、毎日ひやひやしていました。 本が出せるまで、しんどかったですね。 はじめは僕もグリコ・森永事件に対して、どこかエンターテインメントとして観ていたんです。 娘をもつまで、自分はあまり子供が好きではなかったんです。 ところが、しゃべりはじめ、歩けるようになり、そのしぐさがもう本当にかわいくて。 主人公の曽根と娘の詩織ちゃんとの会話は、ほぼ僕の娘との会話のまんま。 そうして娘と接するうち、 『この子の口元にICレコーダーを近づけ、恐喝のことばを言わせて録音するなんて絶対にできない』と思ったんです。 そののち冷酷な犯人像が浮かびあがり、次第に怒りが湧き、事件の捉え方が変化していきました。 塩田 「直接的に人が死んでいないだけで、ひどい犯人なんです。 脅迫にあった会社の従業員は経済的にひっ迫しました。 森永は事件があと50日長引けば倒産したといわれています。 不謹慎ですが、当時の僕は企業や警察に犯人から脅迫状や挑発文が届いたというニュースを、どこか痛快に感じ、「次はどんなおもろい脅迫文が来るんだろう」「次のターゲットとなる企業はどこだろう」と楽しみにしていました。 妻は「かい人21面相」のファンになり、脅迫文を写経のようにノートに書きうつしていたほどでした。 塩田 「僕も娘をさずかるまでは興味本位でした。 あの頃、キツネ目の男をはじめ『かい人21面相』(小説では『くら魔天狗』)たちは、おかみを敵に回し、警察を振り切ったという点で世間からアンチヒーロー的な扱いを受けていたんです。 けれども、犯人たちが逃げられたのは警察がヘマをし続けたからであって、そんなかっこいい存在じゃない。 そして本質は 『子供を利用し、子供を人質に取った事件』なんです。 子供たちは、たまたま青酸ソーダが入ったお菓子を食べずに済んだだけ。 もしも自分の娘がこづかいでお菓子を買い、食べて死んでしまい、朝の『行ってきます』が自分の娘の最期の言葉になったら……悲しすぎませんか。 でも当時そういうことは充分、起こりえたんです。 そこをきっちり書かなきゃいけない。 すぐれたノンフィクションは多いけれど、メインはやっぱり犯人捜しです。 そうではなく 『事件の闇を描くのは小説家の仕事だ。 僕がスポットライトを当てるべきは、犯人捜しではなく、子供と親の関係なんだ』。 大企業を相手取り、警察をけむに巻き、カーチェイスまでやってしまうという。 多面的というか。 小説に登場する「ギン萬事件」の犯人は7名から9名のグループとして描かれていますが、やっぱり現実も複数犯なんですか? 塩田 「アベックを襲撃したり、元自衛官の青年を一発で倒したりといった凶暴な面がある半面、いやらしくいやらしく追い詰める、ある意味で理知的な脅迫文を書いており、頭のつくりが違うプロが10人前後いたと言われています。 それゆえに犯人は一枚岩ではなかったとも推理できますね。 もうひとりの主人公、新聞記者の阿久津と上司のやり取りのおかしさに、笑って息ができなくなるほどでした。 この事件は犯人がユーモアで一般市民の心を支配し、味方につけていった側面があるので、笑いなしでは語れないし、笑いにはちゃんと向き合いたかった。 塩田 「短い間でしたが事務所にも入っていました。 自分で台本を書いていたんですが、すべり倒してやめてしまいました(笑)。 そういう、漫才から学んだ部分が文章に出ているのではないでしょうか。 広告が名取裕子ばっかりだったり。 サラリーマン金融のニュースだらけ。 ベストセラーも『アメリカには戦争で負けたけれど経済では勝つぞ!』といった内容の、強烈なコンプレックスがみなぎった本ばかりが売れていて。 とにかくカネ、カネ、カネ。 そういう時代とあの事件がリンクしていたとも言えます。 取材をすればするほど、犯人はとにかくカネが目的だったとしか思えない。 それしかないんですよね。 なぜ新聞記者に? 塩田 「新聞記者になったのは『将来は小説家になりたい。 長編小説がまともに描けるようになりたい。 社会を勉強したい』と思ったからです。 憧れている山崎豊子さんも元新聞記者でしたし。 小説家を志していなかったら新聞記者にはなっていないですね。 なんせ恥ずかしながら大学3年生まで新聞ってまともに読んでいませんでしたから。 そして『罪の声』は新聞記者をやっていたからこそ書けたとも思います。 民間人が、機密文書が山のようにある刑事部屋の丸椅子に座って話を訊くなんて、普通なら考えられない。 でも新聞記者は、その考えられないことをしなきゃならないんです。 当然『誰じゃお前は!』って 刑事に怒鳴られる。 それが本当につらくて精神的に追い込まれました。 しかしそのまま新聞社に帰ったのでは、今度はデスクに怒られます。 塩田 「とにかく刑事に名前だけでも憶えて帰ってもらおうと、胸に大きな名札を付けて捨て身で飛び込んでいました。 そうやって追い返されながらも通っているうちに席順をおぼえ、刑事が買うたばこの銘柄をおぼえ、そのたばこを差し出し、吸っている間だけ話を訊くなど取材のテクニックが身についてきました。 図太くもなっていきました。 そして、そこで得た情報の価値の重さもわかるようになったんです。 塩田 「主人公の気持ちになりきるために英検準一級を取得し、実際にイギリスへも渡りました。 ガイドブックを開いても何にも載ってない、地元の人が『なにをしに行くの? あんな場所、なんにもないですよ?』と驚くような場所へも足を運びました。 すべて実体験です。 本当に細部にわたるまで綿密に取材をされていたんですね。 塩田 「しましたね。 塩田 「プロローグは『絶対に職人の作業の描写から入ろう』と考えていました。 モデルとなるいいアトリエはないかと思いながら街を歩いていたら、烏丸御池に雰囲気がいいテーラーが建っていた。 『これ、きっとなんかあるぞ』と勘が働き、面識も予備知識もないにもかかわらずいきなり『怪しくないんで、お話を聞かせてください』と取材をお願いしました。 お話をうかがうと親子三代で良質なスーツを作っていらして、イメージにぴったり。 実はこの小説は単行本になるまでに担当者が3人変わっていて、タイトルだけでも『風を知らない』『最果ての碑』と3回も変わっているんです。 連載をまとめて新刊として出版が決まった時も、編集者が京都に来て、 『このままでは出せません』『大手術が必要です』と……。 自分では子供をテーマにしていたつもりだったんですが、まだ犯人捜しに囚われていたんですね。 それはもう連載を単行本化するというより、連載をたたき台にした書きおろしですよね。 塩田 「そうなんです。 3人が赤を入れたうちから共通項を導き出し、小説をいったん分解し、小分けしたものを部屋中に並べて俯瞰しながら入れ替える。 そんな作業をずっと続けていて 睡眠時間はほぼゼロでした。 塩田 「原稿を一部書きなおすと、それによってどうしても前後に矛盾が生じてくるんです。 あそこをいじると、あそこもいじらないと、って。 塩田 「結局、13日で返しました。 『人間って追い詰められたら、2週間でここまで成長できるんや』と自分で感心しました。 それだけに想い入れの強い小説ですが、じゃあもう一度書けと言われたら、二度とやりたくないです。 そもそもが未解決事件なだけに、これで終わるというわけにはいかない気がするんですが。 塩田 「そうなんです。 この小説を書いているとき、声の主は僕と同じ、おそらく36歳前後だったでしょう。 そののち、どういう人生を歩んだのかを知りたい。 声を利用された3人の子供は、小説で描かれたような人生が実際にあったかもしれない。 そして改めて『犯罪に子供を巻き込んではいけない』。 そこに帰着するのだと思います」 あのとき子供たちが発した声が塩田さんのこころに届いたように、子供たちに会いたいという塩田さんお声もまた、彼らに届くといいですね。 そこから始まる続編が楽しみでなりません。 『罪の声』、少々「どくいり きけん」ですが猛烈におすすめです。 塩田 武士(しおた たけし)profile 1979年兵庫県生まれ。 関西学院大学社会学部卒。 神戸新聞社在職中、2010年『盤上のアルファ』で第5回小説現代長編新人賞を受賞し、デビュー。 他の著書に、『女神のタクト』『ともにがんばりましょう』『崩壊』『盤上に散る』『雪の香り』『氷の仮面』『拳に聞け!』などがある。 本書『罪の声』にて、第7回山田風太郎賞受賞、「週刊文春」ミステリーベスト10 2016年度国内部門で第1位となる。 『罪の声』 塩田武士 著 講談社 1,650円(税別) ISBN 978-4-06-219983-4 (吉村智樹)•

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【最高の報道小説】グリコ・森永事件の脅迫テープ──あの子供、自分の声だ!|今日のおすすめ|講談社BOOK倶楽部

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犯人の人数• 犯行動機• 1年半で脅迫から手を引いた理由• 犯人の現在 「罪の声」ではこれらが生々しく描かれていましたが、現実では何ひとつわかっていません。 何ひとつ、です。 曽根達雄、生島秀樹、青木龍一といった登場人物は架空の存在であり、被害企業と違って特定のモデルがいるわけではありません。 また、 現実では「テープの声の児童」も見つかっていないので、曽根俊也や生島総一郎もあくまで物語のために創作されたキャラクターということになります。 なまじ事件の経緯が史実とピタリ一致しているので錯覚しそうになりますが、 実は「罪の声」の物語はほとんど創作されたものだということがわかりますね。 グリコ・森永事件ってどんな事件だったの? 基本的な事件については本当に「罪の声」の通りです。 「かい人21面相」を名乗る犯人は、• 約1年半の期間で計144通の脅迫状・挑戦状を送り• 誰一人として逮捕されないまま• 「くいもんの 会社 いびるの もお やめや」という終息宣言を出して そのまま歴史の闇へと消えていきました。 すべての事件が時効を迎えている今でも、犯人の情報はほとんどわかっていません。 事件の捜査に関わった捜査員の延べ人数は130万1千人、捜査対象は12万5千人と言われています。 被害の規模は? 1.経済的被害 各企業に数千万円から一億円を要求した「かい人21面相」ですが、結局、 一度も現金の受け渡しには成功していません。 これだけの事件を起こしておきながら、(少なくても表向きは) 犯人側の利益はゼロ円でした。 とはいえ、企業側が警察に黙って犯人側と裏取引していた可能性はあります。 また、犯人側の狙いが最初から株価操作だった場合、犯人は株の売買で100億円規模の利益を上げていた可能性があるとも言われています。 2.人的被害 一般的に広く認知されている「グリコ・森永事件」といえば、やはり 青酸入り菓子をバラまいた事件でしょう。 いつも使っているスーパーに並ぶ菓子に毒が入っているかもしれない、という日常と隣り合わせの恐怖は今もなお人々の記憶に強烈に焼きついています。 ただ、 実はこの青酸菓子ばら撒きによる死者はゼロ人なんですよね。 菓子には• 「どくいり きけん たべたら しぬで かい人21面相」• 「どくいり きけん」• 「どくなし あんしん」 といったラベルが貼られてあったため、実際に毒菓子を口にした被害者はいませんでした。 なので、青酸菓子ばら撒き事件は「殺人未遂事件」として扱われています。 とはいえ 「グリコ・森永事件」では一人の尊い命が犠牲になりました。 ハウス食品事件で不審車両を取り逃がした滋賀県警本部長が、失態の責任をとって焼身自殺したのです。 その後まもなく犯人は「くいもんの 会社 いびるの もお やめや」と終息宣言を出していますが、その理由は亡くなった本部長への香典代わりというものでした。 亡くなった本部長は遺書を残していませんでした。 一説では、ハウス食品事件の失態の責任をすべて押しつけられたことに抗議するための焼身だったともいわれています。 本部長はノンキャリアから叩き上げで昇進した人物でした。 犯人は何者? 「グリコ・森永事件」の犯人はどのような人物だったのでしょうか? 実は「罪の声」で描かれている犯人グループには、当時警察がマークしていた容疑者たちの特徴が反映されています。 具体的には• グリコの関係者• 仕手グループ• 元暴力団組長グループ などですね。 中でも警察が特に本命として捜査していたのが、 元暴力団組長の実業家を中心とするグループ。 この元組長は過去にグリコから5億円を恐喝しようとしていましたし、「グリコ・森永事件」の被害企業の関係者から3億円を受け取っていました。 さらに元組長の身辺にはグリコに恨みを持つ人物もいて……。 状況証拠ではありますが、どう考えても怪しいですよね。 しかし、実際には有力な物証も関係者の自白もなく、逮捕には至らず。 このグループへの捜査が空振りに終わったことで、警察の捜査は事実上打ち切られました。 「罪の声」の青木龍一は、もしかしたら「グリ森事件」の真犯人像にかなり迫っていたのかもしれません。 阿久津・俊也にはモデルがいた? 「罪の声」のW主人公、阿久津英士と曽根俊也。 この二人は架空のキャラクターではありますが、まったくのゼロから創作された登場人物であるとも言い切れません。 というのは、 著者の塩田武士さん自身がこの二人に反映されているからです。 以下はインタビューにおける塩田さんのコメント。 「阿久津には記者時代の自分を投影しました」 そう、 実は塩田武士さんは元新聞記者! 専業作家として独立する2012年までは神戸新聞社にお勤めでした(ちなみにご出身は兵庫県尼崎市) 新聞社内での経歴もどこか阿久津を彷彿とさせるものがありますし、阿久津英士は塩田武士さんの分身だと言っても過言ではないでしょう。 一方、阿久津が仕事人としての塩田さんの分身だとするなら、俊也は家庭人としての塩田さんの分身。 再びインタビューでのコメントをご紹介します。 僕自身、2013年に長女が生まれたんですが、本当にかわいくて、宝物のような存在です。 そんなに大切なわが子を犯罪に使うなんて、僕にはとても考えられない。 俊也は曽根家の真実を明らかにしたいと望む一方で、事件を明らかにすることで幼い娘の未来を脅かしてはならないとも強く思っていました。 そんな 『父親としての俊也』には塩田さん自身の心情・経験が反映されていたのでしょうね。 阿久津や俊也に血の通った人間性を見出せるのは、きっと彼らの中に塩田武士さん自身がいるからなのだと思います。 まとめ では、最後に今回のまとめです!.

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グリコ・森永事件 ①グリコ社長誘拐事件

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1984年 昭和59年 と85年に起きた、昭和最大ともいわれる未解決事件のグリコ・森永事件。 同事件を題材にした小説と聞けば、「かい人21面相」を知る世代にとっては、結末はどうなっているのかと手が伸びそうだ。 やはりグリコ・森永事件に着想を得た高村薫さんの「レディ・ジョーカー」は97年に単行本化され、文庫本と合わせた累計の発行部数は100万部を超える大ベストセラーになり、映画化、テレビドラマ化もされた。 「かい人21面相」を知る世代は、事件からしばらくたってから、友人や知人らと、金の受け渡しについて指示する電話の声の子どもはどうしているかなどと、想像力をたくましくて話したことがあるのではないか。 物語のプロローグは、まるで直球で、読者の興味のど真ん中を狙ったかのよう。 父親の遺品のカセットテープをいれたCDラジカセから、言葉と言葉のつながりが不自然な子どもの声。 しばらくして、聞いていた男は自分のものだと気付く...。 物語はテンポよく進むのだが、ここは現実の事件ではどうだったのかと気になって調べてしまうのは、インターネット時代だからこその寄り道か。 何度読んでも同じところでとまってしまう。 著者の塩田武士さんは新聞記者経験もあるだけに、その関係シーンはもちろんリアリティーがあふれる。 最後に明かされるテープの動機は、印象が分かれそうだ。

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