洒落怖 名作。 【洒落怖】くねくね|厳選洒落怖まとめ

【洒落怖】ひとりかくれんぼ実況

洒落怖 名作

俺の家の西側には長い坂道があって、それがまっすぐ俺の家の方に向って下ってくる。 だから屋上から西側に目をやれば、その坂道の全体を正面から視界に納めることができるようになってるわけね。 その坂道の脇に設置されてる自動販売機を双眼鏡で見ながら、「あ、大きな蛾が飛んでるな~」なんて思っていたら、 坂道の一番上のほうから、物凄い勢いで下ってくる奴がいた。 「なんだ?」と思って双眼鏡で見てみたら、 全裸でガリガリに痩せた子供みたいな奴が、満面の笑みを浮かべながらこっちに手を振りつつ、猛スピードで走ってくる。 奴はあきらかにこっちの存在に気付いているし、俺と目も合いっぱなし。 ちょっとの間、あっけに取られて呆然と眺めていたけど、 なんだか凄くヤバイことになりそうな気がして、急いで階段を下りて家の中に逃げ込んだ。 今私が住んでいる場所は特に曰くも無く、昔から我が家系が住んでいる土地なのでこの家に住んでいれば恐怖体験は自分には起こらないと思っていました。 ここ最近ですが、リビングにいると昼夜を問わず、女性の低い声で鼻歌が聴こえてきます。 「ん~…ん~ん~…」 最初はよ~く耳をすまさなければ気づかないほどに遠くから聴こえてくるのですが、放っておくとどんどん近づいてきます。 「ん~…ん~ん~…」 それでも放っておくと、意識を集中しなくても聴こえるほどに近づいてきます 「ん~…ん~ん~…」 なので私は、その声に気づいたらいつも般若心経の最後の部分を繰り返し唱えるようにしています。 (これしか知らないもので……) とにかく般若心経の「ぎゃーていぎゃーてい」のくだりを唱え続けると、声はだんだん遠ざかっていきます。 このリビングではテレビにも集中できません。 声が聴こえ始めるのは完全に不定期ですし、早く声に気づいて般若心経を唱え始めなければ、時としてそれは部屋にまで入ってきます。 「ん~…ん~ん~…」.

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7がつ5にち きょう、はじめてかていかをならった。 ケンちゃんは「かていかはおんなのかもく!」といってせんせいにおこられた。 せんせいは「いまはだんしもさいほうやおりょうりができないといけないじだい」といった。 はじめてのじゅぎょうはおりょうりだった。 1ぱんはごはんをたいた。 2はんはおみそしるをつくった。 3ぱんはカレーをつくった。 ぼくは3ぱんです。 じゃがいもやにんじんをほうちょうできるときはドキドキした。 「てをきらないようにゆっくりね」とせんせいがいった。 じゃがいもやにんじんやたまねぎやおにくをゴトゴトにた。 カレーのルーをいれた。 しばらくしたらカレーができた。 やさいやおにくをきるときはきんちょうしたけど、そのあとはかんたんだった。 がっこうのかえりにびょういんにいった。 ママにカレーをつくったといったら、にっこりわらった。 ママがいえにいなくてさびしいといったら、もうすぐいえにかえれるといった。 うれしかった。 「そのときはいもうともいっしょよ」といった。 いもうとは、ともよというなまえだ。 ママはともよをうんだので、びょういんにいる。 「ともよもカレーをたべるかな」ときいた。 もうちょっとおおきくなったらたべるとママはいった。 おおきくなったら、ともよにいっぱいカレーをつくってあげようとおもった。 7がつ8にち ママとともよがいえにかえってきた。 パパはにこにこしている。 ぼくはママとパパにカレーをつくってあげようとおもってそういった。 「いいから、おとなしくしていなさい」 パパがそういって、なにもさせてくれなかった。 ママにあそんでもらおうとおもった。 でも、ママはずっとともよとあそんでいる。 7がつ10にち きょういえに、しんすけおじさんとかおりおばさんとおじいちゃんとおばあちゃんがきた。 おしょうがつみたいでうれしかった。 しんすけおじさんとあそんでもらおうとおもった。 だけどあそんでくれなかった。 かおりおばさんにほんをよんでもらおうとおもった。 だけどよんでもらえなかった。 おじいちゃんとおばあちゃんもあそんでくれなかった。 みんなともよとあそんでいる。 「おへやにかえっておとなしくあそんでいなさい」 みんなにそういわれた。 7がつ12にち こんどのにちようびに、またおじさんやおばさんやおじいちゃんやおばあちゃんがくる。 みんなともよとあそびにくる。 ぼくとあそんでくれない。 「たべちゃいたいくらいかわいいって」 ママはともよをだっこしていった。 パパも「そのとおりだよ」といった。 「よかったねともよ」とママはいった。 7がつ18にち はやおきしてカレーをつくった。 やさいはじょうずにきれた。 おにくはむずかしかった。 やわらかくてプニャプニャしてて、ちがいっぱいでた。 「ともよー!ともよー!」 ママがともよをさがしてる。 もうすぐみんながくる。 カレーがぐつぐつにえている。 「ともよー!ともよー!」 たべちゃいたいぐらいかわいいともよ。 昨年の夏、野郎3人で「出る」と言われている山奥の廃墟に行きました。 現場に着いたのは、午前12時過ぎだったと思います。 当時、雨が降ってたの でジト~っとしたイヤな雰囲気だったのですが、廃墟自体はそんなに大きく なく、奇妙な体験もなく、何となく尻切れトンボな状態で探索は終わりました。 ただ気になったのは、俺の右となりにいた友達が、探索中にずっとガムを 「クチャクチャクチャクチャ」噛んでて、それが不快だった事です。 鼻息も荒かったように感じられました。 いざ帰ろうとした時、俺はその友達に 「お前さぁ、普段から食事するときもマナー悪いよな。 さっきもガムをさぁ、 クチャクチャうるせーんだよな」 と苦笑混じりに注意したのですが、友達はビックリした顔つきでこう言いました。 「・・・ガムなんて噛んでないけど」 その時、後方の廃墟から、あの食べ物を咀嚼する様な音が聞こえてきたのです。 「クチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャクチャ」 俺らは速攻車に戻り、逃げ帰りました。 その廃墟は、あくまでも噂なのですが、 狂った父親が一家全員を惨殺し、その死肉を燻製(くんせい)にして1年ほど 暮らしていた家だそうです。 年くらい前の学生の頃、友達のKが肝試しスポットの廃病院に行こうと言ったので 友達、後輩の5人でパーティー組んで冒険しに行く事になった。 途中のコンビニで懐中電灯買って真夜中の廃病院へ入る。 たたずまいはなかなかのものだ。 外に面しているガラスがことごとく割れている。 尾崎ファンのKが尾崎の歌を歌い出した「校舎の窓ガラス割って~」みたいなやつ。 寒い ぶち壊された入口から入ると、散乱したカルテやバラバラになった ソファーの残骸なんかに混じって空き缶や空き瓶、紙袋とかのゴミがいっぱいだった。 奥へ進んで診察室の前を通ると、何か気配がする… 入ってみると、DQNが座って酒飲んでた。 男3人女1人、ゴツめの男 以下A ・ゴツめ、かつ目つきがヤバい男 B ・そいつらの パシリみたいな男 以下C ・無口だけどかわいいDQNファッションの女 D という4人編成だ。 俺らのパーティーで懐中電灯を持ってるのは5人中3人、俺が照らした先は ゴツめの男の腰のあたりだったが、ナイフかなんかの武器の柄っぽいのが見えた! と思ったため、すぐにライトをよけた。 ああヤバい…なんて思ってると Kが、DQNに気さくに話しかける。 もともとこいつもDQNぽい奴だし、 こういう奴らと話するのはうまい。 以下、正確ではないが会話の内容 K「こんばんは、何してるんですか?」 A「ああ、肝試しよ、肝試し。 その前にちょっとここで景気付けなんだよ」 K「俺達もなんですよ。 ここ怖いっすねぇ」 A「あ?このくらいで怖い言ってたら肝試しなんかやらん方がいいよ 何なら俺達が一緒に回ってやろうか?」 K「おー、いいっすねぇ、行きましょうか」 見かけによらず、フレンドリーな面々っぽいな…などと思ったが、 Kを除いた俺含むパーティーの全員が「Kの馬鹿野郎」と思った。 そういうわけで一緒に行動することになって少し歩いた時、俺は9人に増えたパーティーの 後ろの方を歩いてたんだが、後輩の一人がやってきて、俺に 「Sさん、あいつら絶対シンナーやってますよ!」と話かけてきた。 ヒソヒソとは言え、シーンとしてる中での声だったので俺はめっちゃ慌てた。 そいつを引き止め、さらに前に居るDQNとの距離を取ってから、 俺「馬鹿、声でけぇよ!」 後輩 以下W 「だって最初遭ったときにあいつら紙袋に口つけてスーハーしてたんですよ!? やばいですって!」 俺「マジか!俺はそんとき別のもん見てたから気付かなかった。 あいつらナイフ持ってるよな あぶねぇ奴らだよ。 K、軽いからなぁ」 W「ホントっすよ」 けど、そんなこと言っても突然逃げるのもなんか嫌だったし、俺とW以外の3人は DQNの近くに居るから結局付いて行くことにした。 注意しとけば、ラリッた奴らが襲ってこようが楽勝とか根拠の無い自信みたいのもあったし。 前にいる奴らに追いつこうと歩きだしたとき、ふと後ろを振り向くと人影が見えた。 よく見るとDだった。 俺は会話の内容聞かれたかもしれん…とビクビクしながら、 Dに 多分物凄いぎこちない 愛想笑いしてまた歩き出した。 追いついてみると、そこは婦人科の分娩室っていうのかな。 そういうところで 分娩台とか流し台っぽいステンレスが置いてあった。 すると、分娩台の周りに黒いシャツと、血の付いたタオルが置いてあるのに気付き、 さらに見ると分娩台にも結構な量の血がこびり付いていた。 A「あ、俺のシャツだ。 やっぱり前ここ来たとき置いてったか」 B「ばーか、お前が先に出てったからそのシャツ、タオル代わりに使ったよ」 A「何だと?あ!血だ!てめぇ!!!」 もう殺し合いでも始まるかってくらいの雰囲気だった。 これには流石のKも引いてる。 そこで、Wが口を開いた。 W「あの…ここでなんかあったんですか?」 Wは普段は真面目で華奢な好青年だが、こういう所で肝が据わってると思った。 しかし、空気読め…そう思ったら、BがWの方に持ってる傘を投げつけた。 当たらなかったが。 B「そうなの。 俺達ここで女犯したんだよ。 Wは凍り付いてたと思う。 よく見てないけど。 A「ああ、ありゃぁ良かったぜ~。 いつのまにかAとBは仲直りしてる。 この態度の急変とかもそれまで見た事なかった。 ヤバい、こいつらヤバい… メンバー編成が決まった。 Aが3階、Bが2階に行き、A、Bが交互にメンバー選んで、 A「じゃあ残りは1階な」と言ったらBが奇声を発して廊下に出て階段を上がって行った。 やばい。 結局、俺の役目は1階の裏口付近などのまだ見てないところと、見張りみたいな感じで CとDと一緒に組むことになった。 俺の見た目とかで下っ端扱いにされたのか、だから見張りなのか…と納得いかないような、 けど、AやBと一緒じゃないのがホッとしたような気持ちだった。 けど、見るからにパシリみたいなCとかわいいけど無口なDなど居ても何も楽しくない。 黙々と裏口の探検をし、それなりに怖かったものの終了した。 ふと気付くとDが居ない。 探してみたものの、どこにも見当たらなかったので、そのまま外でA班B班が帰って来るのを待った。 そう思って入り口ぼーっと見てたら、そのすぐ横に停めてあったミニバンに Dが乗っているようだった。 先に戻ってたのか…俺はCに訊いた。 Bは最高にハイってやつだ。 出てきてから駐車スペースにある 砂利を掴んでは奇声を発しながら地面に思いっきり投げ…と意味不明な行動を何度か繰り返し、 Aも「うぉー!うぉー!」って叫んだりしてた。 俺のパーティーの奴らは普通を装ってたが顔にしっかり疲れが出てる。 K「お疲れ様でーす!どうもありがとうございましたー!」と言い 俺らもそれにならって「ありがとうございましたー!」って言って帰ろうとすると、 「おー!帰るのか!またなー!これおみやげー!」とBが言うと、拳くらいの大きさの石を 投げてきた。 誰にも当たらなかったがKの車の手前でバウンドしてバンパーに直撃した。 普段ならブチ切れるKもその時はとにかく逃げることを考えたのだろう、さっさと車に乗り込み 俺達全員乗り込むと逃げるように帰った。 帰りの車中、疲れてみんな参っていた。 Kは寝ることにかけては一流なので、 居眠り防止の為、それとこの静まった空気を嫌って、無理からいろいろ話振った。 2階はどうだったかとか、3階はどうだったかとか、裏口何もなくてつまらんかったとか。 返事は来るんだけど会話が続かない。 そういうことを言ってさらに、 俺「なぁ、女一人居ただろ?レイプしたとか自分の目の前で平気で言う男とよく一緒に居られるよな 実は一番すごかったのってあの女の根性じゃね?さすがに裏口を、知らん男と パシリ野郎で行くのは不安だったらしいが」と言った、するとWが W「Sさん、何言ってんすか。 女居なかったっすよ?野郎ばっかで良かったって俺思ってたし」 K「裏口はお前とパシリだけだろ?」 他の後輩も「またぁ~!」とか「変なこと言って脅かさないで下さいよ~」みたいに言ってる。 俺「ああ、お前等くらいならもうちょっとビビるかななんて思ったんだがな…ははは…」 そこから俺はしゃべるのをやめた。 あれは僕が小学5年生のころ。 当時、悪がきで悪戯ばかりだった僕と、 友人のKは、しょっちゅう怒られてばかりでした。 夏休みのある日、こっぴどく叱られたKは、 僕に家出を持ちかけてきました。 そんな楽しそうなこと、 僕に異論があるはずもありません。 僕たちは、遠足用の大きなリュックに お菓子やジュース、マンガ本など ガキの考えうる大切なものを詰め込み、 夕食が終わってから、近所の公園で落ち合いました。 確か、午後8時ごろだったと思います。 とはいっても、そこは浅はかなガキんちょ。 行く当てもあろうはずがありません。 「どうする?」 話し合いの結果、畑の中の小屋に決まりました。 僕の住んでいるとこは、長野の片田舎なので、 集落から出ると、周りは田畑、野原が広がっています。 畑の中には、農作業の器具や、 藁束などが置かれた小屋が点在していました。 その中の、人の来なさそうなぼろ小屋に潜り込みました。 中には、使わなくなったような手押しの耕運機?があり、 後は、ベッドに良さそうな藁の山があるだけでした。 僕たちは、持ってきた電池式のランタンをつけ、 お菓子を食べたり、ジュースを飲んだり、 お互いの持ってきたマンガを読んだりと、 自由を満喫していました。 どのくらい時間がたったでしょうか。 外で物音がしました。 僕とKは飛び上がり、 慌ててランタンの明かりを消しました。 探しに来た親か、小屋の持ち主かと思ったのです。 二人で藁の中にもぐりこむと、 息を潜めていました。 「ザリザリ・・・・ザリザリ・・・」 何か、妙な音がしました。 砂利の上を、何かを引きずるような音です。 「ザリザリ・・・ザリザリ・・・」 音は、小屋の周りをまわっているようでした。 「・・・なんだろ?」 「・・・様子、見てみるか?」 僕とKは、そおっと藁から出ると、 ガラス窓の近くに寄ってみました。 「・・・・・!!」 そこには、一人の老婆がいました。 腰が曲がって、骨と皮だけのように痩せています。 髪の毛は、白髪の長い髪をぼさぼさに伸ばしていました。 「・・・なんだよ、あれ!・・・」 Kが小声で僕に聞きましたが、僕だってわかりません。 老婆は何か袋のようなものを引きずっていました。 大きな麻袋のような感じで、 口がしばってあり、長い紐の先を老婆が持っていました。 さっきからの音は、これを引きずる音のようでした。 「・・・やばいよ、あれ。 山姥ってやつじゃねえの?」 僕らは恐ろしくなり、ゆっくり窓から離れようとしました。 ガシャーーーン!! その時、Kの馬鹿が立てかけてあった鍬だか鋤を倒しました。 僕は慌てて窓から外を覗くと、老婆がすごい勢いで こちらに向かって来ます! 僕はKを引っ張って藁の山に飛び込みました。 バタン!! 僕らが藁に飛び込むのと、 老婆が入り口のドアを開けるのと、 ほとんど同時でした。 僕らは、口に手を当てて、 悲鳴を上げるのをこらえました。 「だあれえぞ・・・いるのかええ・・・」 老婆はしゃがれた声でいいました。 妙に光る目を細くし、 小屋の中を見回しています。 「・・・何もせんからあ、出ておいでえ・・・」 僕は、藁の隙間から、老婆の行動を凝視していました。 僕は、老婆の引きずる麻袋に目を止めました。 何か、もぞもぞ動いています。 と、中からズボっと何かが飛び出ました。 (・・・・・!) 僕は目を疑いました。 それは、どうみても人間の手でした。 それも、子どものようです。 「おとなしくはいっとれ!」 老婆はそれに気付くと、 足で袋を蹴り上げ、 手を掴んで袋の中に突っ込みました。 それを見た僕たちは、もう生きた心地がしませんでした。 「ここかあ・・・」 老婆は立てかけてあった、フォークの大きいような農具を手に、 僕たちの隠れている藁山に寄ってきました。 そして、それをザクッザクッ!と山に突き立て始めたのです。 僕らは、半泣きになりながら、 フォークから身を避けていました。 大きな藁の山でなければ、今ごろ串刺しです。 藁が崩れる動きに合わせ、 僕とKは一番奥の壁際まで潜っていきました。 さすがにここまではフォークは届きません。 どのくらい、耐えたでしょうか・・・。 「ん~、気のせいかあ・・・」 老婆は、フォークを投げ捨てると、 また麻袋を担ぎ、小屋から出て行きました。 「ザリザリ・・・・ザリザリ・・・・」 音が遠ざかっていきました。 僕とKは、音がしなくなってからも、 しばらく藁の中で動けませんでした。 「・・・行った・・・かな?」 Kが、ようやく話し掛けてきました。 「多分・・・」 しかし、まだ藁から出る気にはなれずに、 そこでボーっとしていました。 ふと気が付くと、背中の壁から空気が入ってきます。 (だから息苦しくなかったのか・・・) 僕は壁に5センチほどの穴が開いてるのを発見しました。 外の様子を伺おうと、顔を近づけた瞬間。 「うまそうな・・・子だああ・・・・!!」 老婆の声とともに、 しわくちゃの手が突っ込まれました!! 僕は顔をがっしりと掴まれ、穴の方に引っ張られました。 「うわああ!!!」 あまりの血生臭さと恐怖に、 僕は気を失ってしまいました。 気が付くと、そこは近所の消防団の詰め所でした。 僕とKは、例の小屋で気を失っているのを 親からの要請で出動した地元の消防団によって 発見されたそうです。 こっぴどく怒られながらも、 僕とKは安心して泣いてしまいました。 昨晩の出来事を両方の親に話すと、 夢だといってまた叱られましたが、 そんなわけがありません。 だって、僕の顔にはいまだに、 老婆の指の跡が痣のようにくっきり残っているのですから。 私には霊感がありません。 ですから、幽霊の姿を見たことはないし、声を聞いたこともありません。 それでも、ものすごく怖い思いをたった一度だけ、中学生の時に体験しました。 その話を聞いていただきたいと思います。 14歳のころ、父を亡くした私は、母の実家に引っ越すことになりました。 母方の祖父はとうに亡くなっていたので、祖母、母、私と、女3人だけの暮らしとなります。 私は、親が死んだショックから立ち直れないまま、新しい環境に早急に馴染まなくてはいけませんでした。 不安はあったのですが、私の身の上に同情してか、転校先の級友も優しく接してくれました。 特にS子という女の子は、転校してきたばかりの私に大変親切にしてくれ、教科書を見せてくれたり、話相手になってくれたりしました。 彼女と親友になった私は、自然に周囲に心を開いてゆき、2ヶ月もたつころには、みんなでふざけあったり、楽しく笑いあったりもできるようになりました。 さてそのクラスには、F美という、可愛らしい女の子がいました。 私は彼女に何となく心惹かれていました。 もちろん変な意味ではなく、女の子が見ても可愛いなと思えるような、小柄できゃしゃな感じの子だったので、同性として好意を持っていたのです。 (私はちょっと地黒で背も高いので、今考えると、多少の羨望もおそらくあったのだと思います) 好かれようとしていると効果はあるもので、席替えで同じ班になったことからだんだん話すようになり、彼女が母子家庭であることがわかって、余計に親しくするようになりました。 もっともF美の場合は、死に別れたのではなくて、父親が別の女性と逃げたとか、そういうことだったように聞きました。 彼女も女だけで生活しているということを知ったとき、この子と友達になってよかったな、と心底思いました。 ただそれも、彼女の家に遊びにいくまでの短い間でしたが・・・。 その日、私が何故F美の家を訪ねることになったのか、私は覚えていません。 ずいぶん昔の話だからというのもありますが、それよりも、彼女の家で見たものがあまりに強い印象を残したので、そういった些細なことがあやふやになっているのでしょう。 その時S子もいました。 それまでも、S子はF美のことをあまり好いておらず、私が彼女と仲良くすることを好ましくは思っていないようでした。 それなのに何で彼女がついて来たのか、私には思い出せません。 しかしとにかく、学校の帰り、家が全然別の方向なのにもかかわらず、私とS子は何かの用事でF美の家に寄ったのでした。 彼女の家は、正直古さの目立つ平屋で、木造の壁板は反り返り、庭はほとんどなく、隣家との間が50センチもないような狭苦しい場所にありました。 私はちょっと驚きましたが、おばあちゃんの家も年季は入っていますし、家計が苦しいのはしょうがないだろう、と思って自分を恥ずかしく思いました。 「おかあさん」 F美が呼ぶと、少ししわは目立つものの、奥からにこやかな顔をしたきれいなおばさんが出てきて、私とS子に、こちらが恐縮するほどの、深々としたおじぎをしました。 洗濯物をとりこんでいたらしく、手にタオルや下着を下げていました。 「お飲み物もっていってあげる」 随分と楽しそうに言うのは、家に遊びに来る娘の友達が少ないからかもしれない、と私は思いました。 実際、F美も「家にはあんまり人は呼ばない」と言ってましたから。 もしF美の部屋があんまり女の子らしくなくても驚くまい、と私は自分に命じました。 そんなことで優越感を持ってしまうのは嫌だったからです。 しかし、彼女の部屋の戸が開いたとき、目にとびこんできたのは、予想もつかないものでした。 F美がきれいだということはお話ししましたが、そのぶんやはりお洒落には気を使っているということです。 明るい色のカーテンが下がり、机の上にぬいぐるみが座っているなど、予想以上に女の子らしい部屋でした。 たった一点を除いては。 部屋の隅に立っていて、こっちを見ていたもの。 マネキン。 それは間違いなく男のマネキンでした。 その姿は今でも忘れられません。 両手を曲げて縮め、Wのかたちにして、こちらをまっすぐ見つめているようでした。 マネキンの例にもれず、顔はとても整っているのですが、そのぶんだけその視線がよけい生気のない、うつろなものに見えました。 マネキンは真っ赤なトレーナーを着、帽子を被っていました。 不謹慎ですが、さっきみたおばさんが身につけていたものよりよほど上等なもののように思えました。 「これ・・・」 S子と私は唖然としてF美を見ましたが、彼女は別段意外なふうでもなく、マネキンに近寄ると、帽子の角度をちょっと触って調節しました。 その手つきを見ていて私は、 鳥肌が立ちました。 「かっこいいでしょう」 F美が言いましたが、何だか抑揚のない口調でした。 その大して嬉しそうでもない言い方がよけいにぞっと感じました。 「ようこそいらっしゃい」 といいながら、トレーにケーキと紅茶を乗せたおばさんが入ってきて、空気が救われた感じになりました。 私と同じく場をもてあましていたのでしょう、S子が手を伸ばし、お皿を座卓の上に並べました。 私も手伝おうとしたのですが、お皿が全部で4つありました。 あれ、おばさんも食べるのかな、と思い、ふと手が止まりました。 その時、おばさんがケーキと紅茶のお皿を取ると、にこにこと笑ったままF美の机の上におきました。 それはマネキンのすぐそばでした。 とんでもないところに来た、と私は思いました。 服の中を、自分ではっきりそれとわかる、冷たい汗が流れ続け、止まりませんでした。 F美はじっと、マネキンのそばに置かれた紅茶の方を凝視していました。 こちらからは彼女の髪の毛しか見えません。 しかし、突然前を向いて、何事もなかったかのようにフォークでケーキをつつき、お砂糖つぼを私たちに回してきました。 私はよほどマネキンについて聞こうと思いました。 彼女たちはあれを人間扱いしているようです。 しかもケーキを出したり、服を着せたりと上等な扱いようです。 ですが、F美もおばさんも、マネキンに話しかけたりはしていません。 彼女たちはあれを何だと思っているのだろう?と考えました。 マネキンの扱いでは断じてありません。 しかし、完全に人だと思って、思い込んでいるのだとしたら、「彼」とか「あの人」とか呼んで、私たちに説明するとかしそうなものです。 でもそうはしない。 その、どっちともとれない中途半端な感じが、ひどく私を不快にさせました。 私がマネキンのことについて尋ねたら、F美は何と答えるだろう。 どういう返事が返ってきても、私は叫びだしてしまいそうな予感がしました。 どう考えても普通じゃない。 何か話題を探しました。 部屋の隅に鳥かごがありました。 マネキンのこと以外なら何でもいい。 普通の、学校で見るようなF美を見さえすれば、安心できるような気がしました。 「トリ、飼ってるの?」 「いなくなっちゃった」 「そう・・・かわいそうね」 「いらなくなったから」 まるで無機質な言い方でした。 飼っていた鳥に対する愛着などみじんも感じられない。 もう出たい、と思いました。 帰りたい、帰りたい。 ここはやばい。 長くいたらおかしくなってしまう。 その時「トイレどこかな?」とS子が立ち上がりました。 「廊下の向こう、外でてすぐ」とF美が答えると、S子はそそくさと出ていってしまいました。 そのとき正直、私は彼女を呪いました。 私はずっと下を向いたままでした。 もう、たとえ何を話しても、F美と意思の疎通は無理だろう、ということを確信していました。 ぱたぱたと足音がするまで、とても長い時間がすぎたように思いましたが、実際にはほんの数分だったでしょう。 S子が顔を出して「ごめん、帰ろう」と私に言いました。 S子の顔は青ざめていました。 F美の方には絶対に目を向けようとしないのでした。 「そう、おかえりなさい」とF美は言いました。 そのずれた言い方に卒倒しそうでした。 S子が私の手をぐいぐい引っ張って外に連れ出そうとします。 私はそれでもまだ、形だけでもおばさんにおいとまを言っておくべきだと思っていました。 顔を合わせる勇気はありませんでしたが、奥に声をかけようとしたのです。 F美の部屋の向こうにあるふすまが、20センチほど開いていました。 「すいません失礼します」 よく声が出たものです。 その時、隙間から手が伸びてきて、ピシャッ!といきおいよくふすまが閉じられました。 私たちは逃げるようにF美の家を出ていきました。 帰り道、私たちは夢中で自転車をこぎ続けました。 S子が終始私の前を走り、1メートルでも遠くへいきたい、とでもいうかのように、何も喋らないまま、自分たちのいつもの帰り道まで戻っていきました。 やっと安心できると思える場所につくと、私たちは飲み物を買って、一心不乱にのどの渇きをいやしました。 「もう付き合うのはやめろ」とS子が言いました。 それは言われるまでもないことでした。 「あの家、やばい。 F美もやばい。 でもおばさんがおかしい。 あれは完全に・・・」 「おばさん?」 トイレに行った時のことをS子は話しました。 S子がF美の部屋を出たとき、隣のふすまは開いていました。 彼女は何気なしに通りすぎようとして、その部屋の中を見てしまったそうです。 マネキンの腕。 腕が、畳の上に4本も5本もごろごろ転がっていたそうです。 そして、 傍らで座布団に座ったおばさんが、その腕の一本を、狂ったように嘗めていたのです。 S子は震えながら用を足し、帰りにおそるおそるふすまの前を通りました。 ちらと目をやると、こちらをじっと凝視しているおばさんと目が合ってしまいました。 つい先刻の笑顔はそのかけらもなくて、目が完全にすわっています。 マネキンの腕があったところには、たたんだ洗濯物が積まれてありました。 その中に、男もののパンツが混じっていました。 「マ、マネキンは・・・?」 S子はついそう言って、しまったと思ったのですが、おばさんは何も言わないまま、S子にむかって、またにっこりと笑顔を見せたのでした。 彼女が慌てて私を連れ出したのはその直後のことでした。 あまりにも不気味だったので、私たちはF美が喋って来ない限り、彼女とは話をしなくなりました。 そして、だんだん疎遠になっていきました。 この話をみんなに広めようか、と考えたのですが、とうてい信じてくれるとは思えません。 F美と親しい子にこの話をしても、傍目からは、私たちが彼女を孤立させようとしているとしか思われないに決まっています。 特にS子がF美とあんまり仲がよくなかったことはみんな知っていますから・・・。 F美の家にいったという子にこっそり話を聞いてみました。 でも一様におかしなものは見ていない、と言います。 だから余計に、私たちに状況は不利だったのです。 ただ一人だけ、これは男の子ですが、そういえば妙な体験をした、という子がいました。 F美の家に言ってベルを押したが、誰も出てこない。 あらかじめ連絡してあるはずなのに・・・と困ったが、とにかく待つことにした。 もしかして奥にいて聞こえないのか、と思って戸に手をかけたら、ガラガラと開く。 そこで彼は中を覗き込んだ。 ふすまが開いていて(S子が見た部屋がどうかはわかりません)、部屋の様子が見えた。 浴衣を着た男の背中が見えた。 向こうに向いてあぐらをかいている。 音声は聞こえないが、テレビでもついているのだろう、背中にブラウン管かららしい、青い光がさして、ときおり点滅している。 だが何度呼びかけても、男は振り返りもしないどころか、身動き一つしない・・・。 気味が悪くなったので、そのまま家に帰った。 F美の家に男はいないはずです。 たとえ親戚や、おばさんの知り合いであったところで、テレビに背中をむけてじっと何をしていたのでしょう? それとも、男のパンツは彼のだったのでしょうか。 もしかしてそれはマネキンではないか、と私は思いました。 しかし、あぐらをかいているマネキンなどいったいあるものでしょうか。 もしあったとすれば、F美の部屋にあったのとは別のものだということになります。 あの家にはもっと他に何体もマネキンがある・・・? 私はこれ以上考えるのはやめにしました。 あれから14年がたったので、今では少し冷静に振り返ることができます。 私は時折、地元とはまったく関係ない所でこの話をします。 いったいあれが何だったのかは正直今でもわかりません。 もしF美たちがあれを内緒にしておきたかったとして、仲の良かった私だけならまだしも、なぜS子にも見せたのか、どう考えても納得のいく答が出ないように思うのです。 そういえば、腕をWの形にしているマネキンも見たことがありません。 それでは服は着せられないではないですか。 しかしあの赤い服は、マネキンの身体にピッタリと合っていました。 まるで自分で着たとでもいうふうに・・・ これが私の体験のすべてです。 慣れてなくて、切れ目が多くなってしまいました。 ごめんなさい。 あのマネキンの家がどうなったかはわたしも知りません。 母親が再婚して別の家に移ってしまったので・・・ 心霊話じゃなくて、あんまり恐くないかもしれませんけど、あの時ほど恐くなったことはありませんでした。 俺が高校生だった頃の話。 当時、俺は柔道部に所属していた。 段位は弐段。 150kgのバーベルを持ち上げる事も出来るくらい鍛えていた。 そんな俺にはライバルであり、仲間であり、親友と呼べる奴がいた。 ある日、そいつと俺は足腰を強化する為に校庭で走行訓練を行っていた。 そして走り終わり、校庭の隅で休憩している時、背中に強い衝撃を感じた。 振り返ると、そこには巨大な楔(くさび)を持った友が居た。 友の手に握られた楔は校庭で使うロープを固定する為の物で 太さ2cm、長さ30cmで先の尖った鉄製のシロモノだ。 どうやら友は、そいつを俺の背中に突き立てたらしい。 俺は友に「何をしているんだ?」と聞いた。 友は「う~ん、痛いかなぁ、と思って」と答えた。 俺の背中に何か生暖かい物が流れる感触がする。 どうやら出血したようだ。 俺が「痛くはないが、血が出たぞ」と言うと「う~ん、血が出ただけかぁ」と友は言う。 「いいから、楔を元に戻せ」そう言うと友はつまらなさそうに楔を元の場所に戻す為に振り返った。 その時だった。 俺は友の将来の為に何か御仕置きをしなくてはならない、と思った。 俺だったから良かったが、これが一般人相手だったら大事だ。 悪い事をしたのだと躾けなければならない。 その頃、俺は対人用として「必殺」と言える技の開発をしていた。 ボクシングの「カエル飛びアッパー」を知っているだろうか? 低い体勢から全身のバネを使い、下から上に一気に拳を突き上げる技だ。 あれを浣腸でやる。 しかも両手の人差し指と中指の計4本の指を使う。 ただでさえ危険な、その技を鍛え上げられた肉体を持つ 俺がやると洒落では済まない威力を発揮する。 正に「必殺技」 名を「四指死天昇」と言う。 楔を元の場所に差し込んでいる友の背後に素早く近づき 俺は「四指死天昇」を炸裂させた。 肛門とは実に脆いものだ。 中指の第二関節までキレイにめりこんだ。 それと同時に肉が裂ける感触も伝わる。 友は何も言わず、その場で前のめりに崩れ落ちた。 衝撃のあまりに一瞬で落ちたのだ。 そして痙攣していた。 友は救急車で病院に搬送され、緊急手術となった。 その後、俺と友は教員や親に度重なる尋問並びに説教をされる事になった訳だが 俺も友も「俺とあいつは親友だ。 何も問題はない」と言い通した。 後遺症で友は便を排出する度に激痛に襲われる症状が1年間続いた。 友は自分にこれほどのダメージを与える俺を尊敬していると言う。 俺もまた、肛門の激痛に耐える友を尊敬している。 そんな昔話を職場の同僚に話すと必ずキチガイ扱いされる。 妖怪を扱ったテレビ番組で出演者が語った話。 都市伝くさいが。 ある男が酒をのんで熟睡している。 ふと顔に何かかかるので寝ぼけながら払いのけた。 しばらくするとまた顔に、かかる・・・・。 払いのける。 数回繰り返しているうちに、 ・・・・髪の毛だ。 ・・・・・・・・・・・・・・・長い。 醒めつつある頭で、昨夜を思い出すが女と一緒に寝た記憶はない。 それとも酒の勢いで? 暗がりの中、相変わらず顔にかかる髪の毛を握って、つっと引っ張ってみる。 手の感触から髪の毛の主は「・・・・自分の横に寝ていない」。 「髪の毛が、天井から垂れ下がってる・・・・・?」 男は暖簾のような髪の毛を払い、起き上がって部屋の電気をつけた。 ・・・・・・・異常にながい髪の毛が天井から垂れ下がっていた。 髪の毛をたどっていくと、ちょうど水面から鼻下あたりまで顔を出すように 天井から、まっすぐ凝視した女の顔がさかさまに出ていた。 瞬きもなく・・・。 何なのかわからず男はみつめていた。 ふと髪の毛を引っ張ってみる。 確かな手ごたえが返ってきた。 わけわからないまま、部屋をでて隣の友人を呼びにいく途中でひざが震え出した。 が、二人して返ってくるとそこにはもう何もなかったのである・・・。 こんな話でした。

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【洒落怖】姦姦蛇螺(かんかんだら)

洒落怖 名作

カエル あれは俺が13歳位の頃だったろうか。 鬱陶しい梅雨の時期には、近くの田んぼにカエルがわんさか湧く。 俺の実家は田舎で、それこそ農作業で生活してる人もいるし、通学路なんか半分は、左右田んぼに囲まれた 道が続いてた。 で、当時中学生だった俺は梅雨だから外にも出れなかったし、暇で暇で仕方なかったんだよ 家で何かないかなと色々漁ってたら姉ちゃんが買ったハリーポッターの秘密の部屋のビデオがあったから それ見てたんだよ。 俺はハリーポッター興味なかったから、そのビデオが初見だった。 その映画にはバジリスクっていう水道を通って、見た人間を石化して殺す蛇が出てくるんだけど 中学生の俺には、それがかなり怖かったらしく、その日は一人で留守番だったのも含めて、見終わった瞬間 背筋が常にゾクゾクしてた。 だって水道通ってくるんだぜ?どこにいても逃げ場ないじゃん。 かと言って外にも出れないし、俺は適当に面白そうなバラエティでもつけて気を紛らわそうとした。 でもそんなんで気が紛れたら誰も苦労しないじゃん。 俺は1人でずっとゾクゾクしてた。 で、夜7時位になって、じーちゃんとばーちゃんが帰ってきて、少しは恐怖感もなくなった。 でも両親は飲み会で、12時位にならないと帰ってこないらしい。 おまけにじーちゃんとばーちゃんの寝室は1階で 俺の部屋は2階だったから、広い2階には俺1人。 電気消して寝ようとしたけど、当然その瞬間にバジリスクが 俺の脳内をよぎる。 後ろ向いた瞬間、目が合わないかとか、下のじーちゃんとばーちゃんは無事か、とか 今にして思えばバカじゃねーの、とか思うけど、当時の俺としては本気でそう思ってた。 1時間位寝付けなくて ずっと壁の方向いてた。 電気つけて寝ようにも、振り向かないといけないし、そんなのさすがに無理だった。 で、聞こえてきた。 バジリスクの鳴き声でも這いずる音でもなく、カエルの鳴き声が。 耳元で響くように、「ゲコ」っていう鳴き声。 田舎暮らしとしては聞き慣れた、あの声。 家具の軋む音とか、時計の針の音とかと聞き違うはずもない、リアルな鳴き声だった。 俺の部屋にはそんな声出す おもちゃもゲームも目覚まし時計もないし、それが聞こえた瞬間、今までにないくらいのゾクゾクが体中を襲った。 考えても見てくれ。 ろくに後ろも振り向けない状態で、まっ暗闇の中で、響くようなカエルの鳴き声だぞ。 俺の心拍はもう限界レベルだった。 で、耐え切れなくなって、必死の思いで電気つけて、その日はずっとゲームやって朝を待った。 そんな日に限って、やり終えて飽きて放置してるゲームしかなくて、ずっと夜が続くような感覚だった。 まぁ中学生だし、そんなのは3日もあれば忘れる。 俺も例に漏れず、3日で忘れて友達とポケモンだのジャンプだのの話題で 盛り上がってた。 で、何ヶ月かたって、夕食食って8時位にハリーポッターのアズカバンの囚人のTVで予告が始まった。 で、思い出した。 バジリスクのこと。 カエルの鳴き声のこと。 まるで条件反射みたいに俺はまたゾクゾクとした。 更に俺を追い詰めるみたいに雨が降り始めた。 それだけじゃない。 その時居間に居たんだが、姉ちゃんが秘密の部屋のビデオを 再生し始めた。 今にして思えば、アズカバンが公開されるんだからおさらいとして見直すのは当たり前の行動だけど、 その時の俺には、姉ちゃんがまるで何かに取り憑かれたかのように見えた。 更に普段は一緒にビデオなんか見ない両親まで秘密の部屋 一緒に見るって感じになってたから、居間になんかいたら気が狂いそうだった俺は、二階に逃げようとした。 でも姉ちゃんと両親の3人は 一階の居間で秘密の部屋見てるから、二階には俺以外誰もいない状況だった。 もう無理だった。 俺は「コンビニ行ってくる!」 って言って逃げるように外に飛び出た。 なんであんなに恐ろしかったのかはわからない。 ゴキブリとかナメクジに生理的な恐怖を感じる人みたいに 俺は多分、バジリスクっていうかその一連の空気に生理的な恐怖を感じるようになったんだと思う。 で、外に出た俺は、そのまま散歩を始めた。 夜道なんてどう考えても誰もいない2階より怖いのに、その時の俺は夜道に何も恐怖を感じなかった。 で、先にも書いた、 「両脇が田んぼになってる道」を通ってコンビニに行こうとした。 その瞬間、また俺をゾクゾクが襲った。 右の田んぼから、左の田んぼへの カエルの大行進。 卵の世話か巣の引っ越しかしらんけど、とにかく10匹位のカエルが「ゲコ」「ゲコ」って鳴きながら 道の真ん中に居座ってた。 俺は本当にこいつらに取り憑かれんじゃないかって錯乱して、そのカエルを全部踏み潰した。 バジリスクで恐ろしくなって、二階に行こうとして恐ろしくなって、その矢先にカエルの群れ。 中学生の俺には耐えられるわけもなかったんだと思う。 それで、このまま外にいたら何かある、何か起こると思って家に逃げ帰った。 もうバジリスクでもいい、皆がいる場所に居たかった。 そしたらそこにじーちゃんとばーちゃんも加わって見てた。 どこか安心した俺は部屋に入った。 その瞬間にTVを見て、俺はまた恐怖した。 TVに映ってたのはちょうどハーマイオニーが石化して保健室に寝かされてるシーンだった。 もう俺の頭の中で何かが切れた。 俺はそのまま 二階に行って、電気つけたまま布団被って、目をつぶった。 もうそれしか逃げ場がないような感じだった。 なんで家族全員でハーマイオニーの石化シーンで集合してるんだよ、なんで俺が帰った瞬間そのシーンなんだよって。 布団被ったままでどのくらい居たんだろうか。 しばらく立って俺は気付いた。 あの時のまんまだってことに。 そして、案の定聞こえてきた。 あの時よりも、耳じゃなく脳に響くような声で、「ゲコ」って。 もうその後はどうしてたか覚えてない。 「幽霊や妖怪は恐怖心に寄ってくる」って言うけど、 蛇のバジリスクに恐怖して、カエルの霊が近づいてくるなんて、意味がわからなかった。 俺は蛇を怖がってるのに、なんでそれに誘われて同じように蛇を恐れるはずのカエルが近づいてくるのか。 もうそろそろ精神的におかしくなりそうだったから、俺は近くの神社に行った。 田舎だから、神社なんてその辺にいくらでもあった。 で、神社の神主さんに事の経緯話した、俺的にはカエルを踏みつぶしたのが一番怖かったんだけど「夜にカエルを踏みつぶしたのは正解だった」 とか言われて「は?」って思わず口にした。 なんでもカエルは、蛇に恐怖する俺を「仲間だと思って」近づいたらしい。 人の恐怖心ってのは、まぁ厨二っぽく言えば、どんな物よりも大きな「霊的エネルギー」を持つらしい。 それを本能でしか動いてない 爬虫類は敏感に察知するらしい。 で、それを察知したカエルが、「俺の所に向かっていた」とか言って俺はまたゾッとした。 ビデオで秘密の部屋見たときは、すぐに忘れたからカエルも察知できなくなったけど、今度は結果的に外に飛び出た俺から近づいてきたから、 ああいう感じに遭遇したんだと。 あの時聞こえた鳴き声は、いわゆる共鳴、厨二的に言えばテレパシーでカエルの鳴き声が 就寝前で本能的にしか動いてない俺の脳に響いたらしい。 でも、俺がその時踏みつぶしたから、カエルは俺を蛇みたいな天敵として判断して もう仲間として迎えに来ることはないらしい。 で、いちおう供養もしてもらって、俺は一安心して帰ろうとした。 不思議なことにバジリスクのこと考えても 何の恐怖も感じなくなったし、「俺もしかしてカエルになりかけてた?」とかそんな馬鹿げた妄想も考えながら、 笑い話として話せそうなくらい気楽に考えれるようになった。 でも、俺がカエルを潰すことで解決したんなら、その夜に聞こえてきた、脳に響くような蛙の声は何だったのか? そのことを神主さんに話そうかなんて思った矢先、また聞こえてきた。 鳴き声が。 しかも「グェ~イッ、ゲロゲロッ」とか、なんか笑ってるような 感じの鳴き声だった。 その方向を見ると。 茂みの中に、一匹のウシガエルが居た。 そしてそのウシガエルは、喉を鳴らしながらにた~っと、 まるで器具かなんかで無理やり口を広げたみたいに笑って、茂みの奥に消えていった。 その瞬間、神主さんが「あれは人やなぁ・・・」とかつぶやいた 聞くと、見た目はカエルでも、感じる物は人に近いものだったらしい。 神主さんは、「おそらく、仲間をつくろうとしとるんやなぁ。 経緯はわからんが、 あいつは人からカエルになって、道端のカエルを人が犬を飼うみたいに操って、今回のお前みたいなのを同じようにカエルに変えようとしとるんやな」 と言っていた。 多分、あいつが2度めの夜、最後の攻撃みたいな感じで、俺に鳴き声を送ってきたんだと思う。 頭に直接カエルの声を送る、強制手段みたいな感じだろう。 でも俺はその翌日すぐにこうやって神社に来てお祓いしてもらったから、助かった。 あの無理やりこじ開けたような笑顔は「運が良かったな」とでも言いたかったのか・・・。 多分、あいつは今でもどこかで仲間を作ろうとしてるんだと思う。 カエルと同じように蛇に恐怖を抱いた人間を探して、またどこかの耳元で、 「ゲコ」って鳴いてるかもしれない・・・。

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